十幕 Lost Innocence
1幕
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ェイはハグをやめなかった。
「ダイジョウブ、お姉ちゃん。思い出して。お姉ちゃんにはルドガーがいる」
無気力だったエルの睫毛がぴくんと震えた。
「ル、ドガー」
「そう、ルドガー。お姉ちゃんのアイボーのルドガー。あのひとは強い。それにお姉ちゃんをだーい好きよ。お姉ちゃんを置いてったりするわけない。絶対」
全部の保証ができずとも、音にしてくり返し聞く内に本当のような気がしてくる。〈温室〉にいた頃にマルシアが言っていた。
「ルドガー、は、エルを、置いてか、ない」
「そう。ダイジョウブ。もうダレもお姉ちゃんの前から去ったりしない。だから、ダイジョウブよ」
フェイはエルに「ダイジョウブ」の呪文をかけ続けた。休みなく、笑みを絶やさず。
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