第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
三十七話 傷つきし者達
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のかな?あぁそういえば聞いておかなきゃいけない事があったね。
「聞いておきたい事があるんだけど嫌なら答えなくていいよ、後で綺羅に聞く事にするから。百合の母親は居ないのかい、いるのなら迎えを送るんだけど」
まぁ綺羅の様子を見る限りじゃ居ない可能性のほうが高いけど。もし居るのなら百合共々捕われている筈だしね。
「……母は私が十の頃に亡くなりました……その……妖怪に殺されて……」
そう言って百合は顔を伏せ表情を隠した。
「なるほどね、…それじゃぁ百合は妖怪が嫌い、なのかな?」
母親が妖怪に殺されていれば嫌悪感を持ていても不思議じゃない。もしそうなら此処で生活する以上色々考えなくてはならない。
「……嫌い、ですね…でも…今はちょっと分からないです」
百合の話しによると僕達が幽香の花畑を発った後目を覚ましたチルノからさとりとこいしの話を聞いたりその事や自分の為に本気で怒ってくれるルーミアを見たりして百合の中でよく分からない感覚が広がっているらしい。
「…ですから…その…妖怪にもいろんな方がいらっしゃると分かりました。ですから妖怪と一括りで見ない事から始めようかと思っています」
「…そうか、変な言い方かも知れないけど頑張ってね」
自分の思いを不安そうに語る百合の頭を撫でながら僕はそう言った。考え方やものの捉え方なんてそんなにすぐには変えられない、でも何もしなければ変わる訳も無い。変えようとするのは勇気がいるだろうけどこの子なら大丈夫だろう。
「あぁそうそう、これから一緒に暮らすんだから“七枷”なんて他人行儀じゃ駄目だよ、虚空でいい。神奈子と諏訪子のほうもね」
「はい、畏まりました…虚空様、それでは私は行きますね、準備が終わったらお呼びいたしますので」
百合はそう言うと会釈した後、台所に向け歩いて行き、僕は紫の部屋を目指し歩を進めていると部屋の方から栞の声が響いてきた。
『本当にあんた何考えてるのよ!』
『い、いや反省してるよ…うん本当に』
『一遍死んだ方がいいんじゃないの?』
『酷すぎるだろ!』
どうやら栞と秀介が喧嘩しているようだ。僕は部屋に辿り着くと合図も出さずに襖を引いた。
「こらこら怪我人の部屋で何を騒いでいるんだい?」
襖を開けると同時に二人に向かってそう言うと二人は一瞬驚いた様な表情をした後此方に向き直り頭を下げてくる。
「あ、お帰りなさいませ虚空様!こいつが悪いんですよ!」
「お、お帰りなさい!すみません!」
僕は布団に横になって眠っている紫の枕元に腰を下ろし、二人の話を聞く事にする。
「ただいま、で?何を言い合っていたんだい?」
僕がそう聞くと栞が隣りに座る秀介を視線で指しながら、
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