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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
天使炎上篇
11.波乱の訪れ
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管理公社保安部。
「へーい、那月ちゃん、こっちこっち!」
「吸血鬼コンビといい、おまえといい、……担任教師をちゃん付けで呼ぶなといつも言っているだろう」
南宮那月はそう言って、ヘッドフォンを首にぶら下げる少年、矢瀬基樹を睨みつける。
「公社直々に呼び出しというからなにかと思えば……おまえか、矢瀬」
「すんませんね。理事会も人材不足なもんで」
病院の手術室に似た部屋に那月は案内された。医療機器に囲まれたベッドの上に、十代とおぼしき少女が眠っている。大きな傷をおっているらしく、全身を包帯で包まれている。
「──こいつが五人目か。昨夜は、ずいぶん派手にやらかしてくれたみたいだな」
一昨日の深夜、絃神島西区──アイランド・ウエストで事件があった。
高い戦闘力を持つ二つの未登録の魔族が、市街地の上空で長時間にわたって交戦。その戦闘に巻きこまれて、周囲の建物は多大な被害を受けた。
「とりあえず命に別状はないって話っす。内臓の欠損は、体細胞からクローン再生するんで」
「……内臓の欠損?」
「横隔膜と腎臓の周辺……いわゆるマニプーラ・チャクラのあたりっすね」
「喰われたのか……」
那月が吐き捨てるように呟く。
その直後、彼女の背後から無邪気な声が聞こえる。
「──フム、なるほど。奪われたのは内臓そのものではなく、彼女の霊的中枢……いや、霊体そのものというわけか……なかなか興味深いねェ」
「貴様か、ディミトリエ・ヴァトラー……」
通路から顔を出したのは、金髪碧眼の美しき男。
第一真祖の血族、”戦王領域”の貴族。
「なぜ余所者のコウモリがここにいる?」
「つれないなァ。きみたちの国の組織に頼まれて、わざわざ見舞いに来たというのに」
「へぇ〜、ここが絃神島の中枢か」
予想外の気の抜けた声にその場にいた全員が息を飲んだ。
ヴァトラーのあとから通路に少女が現れたのだ。矢瀬の
過適応体質
(
ハイパーアダプター
)
の音響の結界、那月のような優れた攻魔管やヴァトラーのような“旧き世代”の吸血鬼から気配を消してその少女が現れたのだ。
背中の半分くらいはいっているであろう長い黒髪、まだ幼さが残る顔立ちの少女。どこかの見たことのない制服を着ており、大きな黒色のギターケースを背負っている。どこか獅子王機関の“剣巫”の少女を思わせる。
「何者だ、おまえ」
警戒心をより一層高め、那月が訊く。
「そんなに警戒しなくても大丈夫だよ、那月さん。ボクは最初にあなたに挨拶したほうがいいかなって思ったから来ただけだから」
少女は、無邪気な笑みを浮かべて那月を見る。その表情には、ヴァトラーのような愉しんでいるようではないようだ。
少女は、
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