暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
天使炎上篇
11.波乱の訪れ
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快なステップで飛び降りる。
 彼女は、黒色の大きなギターケースを背負っているにもかかわらずその重さがまるでないようだ。

 自分を送ってくれた小型船の運転手が再びエンジンをかけて絃神港から去っていくのを見えなくなるまで見送って、改まったような声を出す。

「久しぶりに会えるんだ」

 十月。本土が秋だというのに対して絃神島は、常夏の人工島というだけあってかなり暑い。

「……緒河彩斗」

 彼女はどこか懐かしむような表情を浮かべて絃神港から離れていく。
 彼女がこの島に訪れたことで新たな波乱が巻き起こることになることをまだ二人の吸血鬼と獅子王機関の少女は知る由もなかった。




 放課後の夕陽がカーテン越しに照らす美術室に彩斗は訪れた。美術室には、真っ白のスケッチブックを前に置き、右手にデッサン用の鉛筆を握った浅葱が一足先に待っていた。

「遅いわよ、一分遅刻!」

「一分なんて誤差の範囲だろうが」

 制服の上にエプロンを羽織った浅葱に屁理屈を言う彩斗に、彼女は呆れたようにため息を吐く。

 なぜ、彩斗が美術室に呼び出されたかというと美術の授業の作品に、“友達の肖像画”というなんともめんどくさいものが出されたのだが、浅葱はこの間の黒死皇派の事件の人質の事情聴取でその授業を欠席した為、さらには提出が月曜日だからと彩斗を呼び止めた。
 本来なら築島倫や矢瀬基樹などに頼むはずが二人とも用事があり、さらにはついさっきまで約束していたはずの古城は廊下の窓から外を見てたと思ったらどこかに行ってしまった。
 それで代役となったのが帰ろうとしていた彩斗だった。断ろうともした。
 どうせ暇でしょ、と言われて仕方なく引き受けたという経緯なのだ。

「で、俺はなにをすればいいんだ?」

「とりあえず、これに着替えてちょうだい」

 浅葱が渡してきたのは、執事が着るような黒色のスーツ。演劇用の衣装のようだ。

「浅葱、一応訊いてやるが美術の肖像画だよな?」

 そうよ、と当たり前のように浅葱は言う。

「なぜ、美術の肖像画にコスプレが必要なんだ」

「こっちの方が創作意欲がわくのよね。それにちゃんとした服着ればあんたのその無気力な表情も少しはマシになるんじゃないかと」

「悪いがこの顔は、生まれつきだ」

 彩斗が無気力なのは、元からであって、ただそれが吸血鬼の体質によってより一層強まっただけである。

「まあ、いいじゃない。なんならあたしも着るからさ」

 浅葱の言葉に彩斗は、戸惑う。

「あたしも着替えればあんたも着るのよね?」

「ま、まぁ、それならまだいいか」

「それなら着替えるから、あっち向いててよ。絶対こっち見ないでよ」

 浅葱が制服のネクタイを解
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