終わる、そして、始まる。
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はまだ・・・やるべき事がある」
その問いにミストガンは答えると、ふわっと霞のようにその場から消えた。
一瞬目を見開いたメープルだが、すぐに首を横に振る。
「もぅ・・・“それ”も大事ですけど、たまにはワガママを言ってもいいんですよ?」
誰に言う訳でもなく呟く。
そして・・・彼女もゆっくりと姿を消した。
「六魔将軍は壊滅・・・ふふっ、遂に来たわね。この時が」
真っ赤な髪を揺らし、シグリットが微笑んだ。
すると、そこにエストが現れる。
「準備は出来てるよ、シグリット。“あの方”の命令通り、巫女を連れ帰る」
「あらあら、あんまり急いじゃダメよ?あの子達はまだ勝利に酔いしれてるんだから。酔い覚ましはまだ早いわ」
クスッと笑い、シグリットは髪を耳にかける。
「・・・なあ」
「どうしたの?エスト」
「あの子は・・・私達の事を恨んでいるだろうか」
ふっ、と。
シグリットの顔から笑みが消えた。
それを知っていながら、エストはつづける。
「解ってる、解ってるんだ。このギルドを創った時に決めたからね。あの子の事は忘れると・・・」
「・・・そうよ。私達はあの子を犠牲にバラム同盟の一角を担うまでに成長した・・・そして何の運命か、あの子は敵対する側にいる」
「この状況を誰が望んだのだろうね・・・あの子と別れた時点で、こうなる事は解っていたのかな」
どこか寂しげに呟く。
だが、それは長く続かない。
すぐにシグリットは微笑む。
「とにかく私達は“あの方”の命令を遂行するだけ」
「ああ・・・巫女は必ず連れ帰るよ」
エストの表情に、真剣さが宿る。
その表情のまま、エストは部屋を出た。
残されたシグリットは、ふと窓に目を向ける。
「・・・解ってたよ、こうなるって。あの子は絶対にこっち側には来ないって」
とある豪邸があった。
・・・こういう始まり方はどうかと思うが、そこに立っているのは確かに豪邸である為、こう言うしかない。
「・・・」
その一室に、初老の女性がいた。
女性は険しい表情で窓辺に立ち、呟く。
「貴女には十分すぎるほどに自由を与えた。もう貴女の運命は終わるのよ・・・ティア」
パタン、と。
扉が小さく音を立てて閉まる。
エストは無言で椅子へと腰かけ、フレームに飾った写真を手に取った。
そこにはエストとシグリット・・・そして、もう1人。
「お前とだけは戦いたくない・・・だけど、邪魔をするなら牙を剥く」
激戦は終わった。
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