暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルなのは〜優しき狂王〜
2ndA‘s編
第三話〜夜の逃走劇〜
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が落ちるような音と何かを砕いたような音が聞こえたが、振り返って確認するような余裕を今のライは持ち合わせていない。

「っ」

 ゾクリ、と背後から魔力と敵意を感じ、ほぼ反射的にライはその場でしゃがみ込む。

「お?」

 すると、視界には先程まで自分の頭があった高さに鉄球が通り過ぎる光景が、そして耳にはそれを放った張本人の驚いたような感心したような声が入ってくる。

(殺す気かっ、まったく!!)

 内心でそう吐き捨てながらライは陸橋の下に入ろうとする。ヴィータは先ほどの鉄球、シュワルベフリーゲンを立ち止まって打ち出していたため、走って追いつくのは無理だと思い、飛行魔法で上空からライの後を追う。
 その選択は普通であれば間違いではない。だが、ここは都会で、しかも時間帯は夜中である。視覚的な情報は集めにくく、そしてライが逃走に選んだのは上空からは遮蔽物が多くなる陸橋であるためライの逃げ切る可能性が少しだけ高くなる筈であった。
 普段のヴィータであればこんな油断的な行為を行うことはそうそうないのであるが、ライが一般人であると勘違いしているため、偶発的とは言えその結果として今回の逃走劇が成り立っていた。
 ライの方もヴィータとの距離が開いたことで思考する余裕が生まれたのか、今の状況を性格に把握していく。そして結論としてこのまま一般人の振りをしながら逃走を続ける事を選択する。普通であればそれは間違いではない。
 間違いがあったとすれば、それは彼らとは別の人物達がその近くで戦闘をしていたことである。

「っ、崩れる?!」

 陸橋の下を進んでいると、いきなり轟音と天井である陸橋が崩れてくる。
 突然の事で混乱しそうになるが、ライは咄嗟に背中が下になるように前方に飛び込む。

「グッ!!」

 無理矢理な飛び込みと飛んでくる瓦礫により強かに体を打ち付ける。苦悶が自然と漏れる。だが、その瓦礫が落ちて来てくれたおかげで辺りに土煙が立ち込めたことはライにとっては僥倖であった。

(このまま――――)

 逃げようとしたところで、“それ”がライの視界に入った。
 瓦礫の中心で横たわる少女。金色の髪を頭の左右でそれぞれ結び、黒いマントがそのうつ伏せになっている体を隠している。そして今、ライの腕の中にいる少女と同じく半ばから折れている杖を握りしめている、ライにとって見覚えのある女性に似た少女。

(……フェイト?)

 ポツリと頭の中で呟き、逃げると言う選択肢を忘れライは彼女に駆け寄る。
 近づいて彼女の様子を見ると、その姿は先ほどの砂埃で汚れ気を失っていた。

(さっきの落盤は彼女が追突したから?だとしてもなんで――――)

 疑問を浮かべ、天井――――陸橋に空いた穴を見上げるとそこにまた。ライにとって
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