2ndA‘s編
第三話〜夜の逃走劇〜
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ぶきを上げて落ちた二人のいる噴水の方へ、視線を向けなおす。
すると噴水の淵に片手をかけ、ゆっくりと立ち上がるライの姿がヴィータの視界に映る。彼の右腕、噴水の淵を掴んだのとは逆の腕にはなのはが抱えられていた。彼女は吹き飛ばされた時にでも気を失ったのか、その目は閉じられている。しかしそんな状態でも彼女は自分の相棒である二つに折れてしまったレイジングハートをしっかりと握っていた。
一方でライの方は、その特徴的な銀髪が濡れて額や頬に張り付いている。そして強く体を打ち付けたのか、少しふらついており、濡れてしまった服装も相まってどこか弱々しい印象を見るものに与えてしまっていた。だが、なのはがレイジングハートを握りしめているように、彼も腕の中の彼女をしっかりと抱えており、彼女に目立った外傷が無い事を確認した彼の目にはどこか安堵の色が伺えた。
「お前、一般人か?」
急に現れた目の前の男性に言葉を投げかけると同時に、手に持ったハンマーの切っ先を突きつける。
耳に入ってきたその向こうからの言葉で交渉の余地があるということは認識できたが、今手持ちに交渉のカードがほとんどない為、ライは何と答え、どんな取引を行うべきなのか判断に困ってしまう。
「……どう言う……意味かな?」
下手に受け答えをして、やぶ蛇を出すわけにもいかなかった為、曖昧な言葉を返す。その返答としてヴィータは怪訝な表情を浮かべるしかなかった。
(本当に一般人か?だけど、さっきコイツはあの魔導師を見て安堵してた……よな?)
その時の光景を思い出したことで一瞬自分の助けたい人の笑顔を連想してしまい、その表情が曇る。しかしそれも一瞬で振り払い、彼女は早々に要件だけ告げた。
「あたしはそいつに用があるんだ。そいつを置いていくなら危害は加えねぇ」
その説明で少しだけハンマーの切っ先の向きが変わる。そしてその切っ先が腕の中の少女に向いていることを認識すると、ライは先程までの弱々しさを感じさせないほどに強い意志をその瞳に浮かべ、首を横に振った。
「今がどんな状況下はわからないけど、気絶したこの子にまだ何かしようとするのであれば僕は抵抗する」
「……怪我するぞ」
「今更だね」
それを最後通告と決めていたのか、最後の切り返しを聞いた瞬間彼女はその距離を詰めるために、砲弾のように飛び込んでくる。
(随分と好戦的だな!!)
内心で文句を垂れながら、濡れて重くなったことでデッドウェイトとなったコートを器用に脱ぎ、向ってくる彼女の方に向けて投げつける。
一瞬だけでも隙ができれば、想定していた逃走ルートに逃げることが出来ると半ばそう信じ込むようにライは行動する。
コートを投げつけると同時にこちらも弾かれたように走り出す。背後から雑巾
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