第八章
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第八章
「あれだね。皇帝だけしか着てはいけなかったという」
「それがこの色なんだよ」
また言うチャーリーだった。
「その紫なんだよ」
「では君はその色をずっと探していたんだ」
「この色を化粧品店で見つけてね」
その時のことも話に出した。
「それでだったんだよ。赤と紫を出してもらって」
「紫もだったのかい」
「それで紫の方にあったんだよ、この色が」
「赤に見えるけれどね」
「昔の色の区分に従ったんだって」
化粧品店側が紫に入れている理由についてもコリンに述べる。こうした色の区分はどうしてもその選ぶ人の主観によって決まってしまうものである。
「だから紫にしたらしいよ」
「そうなのか」
「そういうことさ。それでね」
「うん」
「この色を使って。絵を描いていくよ」
元よりそのつもりで捜していたのである。ならばこう述べるのは当然の帰結だった。彼は満面の笑顔で今このことを言うのであった。
「これからね」
「そうしたらいいよ。さしあたっては」
「どうしたの?」
「おめでとう」
にこりと笑ってチャーリーに告げたコリンだった。
「その捜していた色が見つかってね」
「運がよかったよ」
ここでも自分が努力したとは考えないチャーリーだった。
「本当にね。店員さんも協力してくれたし」
「その化粧品店のだね」
「実はね、その人とさっきすれ違って」
「奇遇だね」
「向こうが僕のこと覚えてくれていてね」
それは無理のないことだった。とかく目立つチャーリーの外見である。赤いアフロヘアにその派手なファッションとマニキュアである。目立たない方がおかしい。
「それで声をかけてくれて。彼女は今日オフらしいんだ」
「成程」
「それで後でどうかって言われてるんだ。お茶にでもね」
「それは本当に運がいい」
「全くだよ。それもこれも全部」
上機嫌でコリンに話をするチャーリーだった。
「神様のおかげだよ」
「神様のかい」
「だってそうじゃない」
またコリンの言葉に応えて言う。
「神様がおられて色々と動かれたからこうしてこの赤にも巡り合えたし」
「そしてその店員さんとも再会できたというんだね」
「そういうことだよ。いや、本当に神様が運を下されたんだ」
無邪気なまでに明るく述べるチャーリーだった。
「今回はね。全部」
「そういうことなんだね」
「今度教会に行く時は寄付をたんまりとするよ」
このことも忘れないのだった。
「それじゃあ。まずは」
「お昼にしようか」
「うん。それで悪いけれど」
お昼のことを話したうえでまたコリンに言ってきた。
「それが終わったら」
「今聞いたよ」
チャーリーの言葉に少しばかり苦笑いを作ってみせるコリンだった。
「デートなんだろ?これから」
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