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駄目親父としっかり娘の珍道中
第52話 花粉症対策は万全に!
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いか、此処はさりげなく回覧板を置いて行くんだ。さりげなく、通行人Aの様にな。名前のない只の通行人になってそっと置いていくんだ」
「って、言いますけど、この通り誰一人通らないんですけど」
 新八が示唆したとおり、ヘドロの花屋の近辺には人っ子一人通っていない。皆ヘドロを恐れて通れないようだ。これでは例の通行人Aが確実に浮いてしまう。ただの通行人の筈が重要なキーパーソンキャラになってしまう危険性すらある。下手したら死亡フラグつきの。
「心配すんな。お前だけに危険な橋は渡らせねぇよ。俺達が奴の注意を引いてやる。その隙にお前は回覧板を渡すんだ」
「そう言う事ネ。お前は安心して回覧板を渡す事だけに意識を集中すれば良いネ」
「ファイト一発だよ、新八君!」
「み、皆―――」
 思わずジーンとなってしまう瞬間だった。彼等が此処まで自分の為に骨を折ってくれた事が今まであっただろうか? 
 そう思うと思わずホロリと来てしまった。




 と、言う訳で銀時案の作戦が結構された。要するに他の通行人を作れば良いのだ。そうすれば必然的に通行人Aが浮く事はない。正に完璧な作戦と言えた。その内容を除けばだが……
 で、その通行人と言うのが、一台の乳母車を押す侍。と言う図式だった。俗に言う子連れ狼みたいな物だ。
 だが、その乳母車に何故か銀時が乗っており、時折「ちゃ〜ん」と可愛いくない声を発していた。明らかに場違いにも程がある。
 で、その乳母車を押しているのが神楽となのはの二人と言う訳だ。
「おい、何だあの通行人! あんなデカイ子供居る訳ないだろうが! 明らかにミステイクだろうが! 普通逆じゃないの?」
 等と遠目からツッコミを入れる新八なのだが、当然一同が気付く筈がなく、そのまま作戦が決行された。
 ヘドロの鋭い視線が通行人B,C,Dに向けられる。まるで射殺すかの様な恐ろしい目線が三人に向けられていたのだ。
 かなりガン見されている。めっちゃ見られている状態だったのだ。そんな中、三人はヘドロの視線を一身に浴びながら通行人を装う事となった。
 こんな具合に。
「あぁ、なんて事だろうか。我等が父は先に戦の為に精神崩壊を起こしてしまい、今では【ちゃ〜ん】としか言わなくなってしまった。おまけに、隣に居る幼い妹が居るのに、世間の風は冷たく、私達はこれからどうして生きていけば良いのか?」
 神楽がお涙頂戴な展開をベラベラと並べて行った。が、何故か余り感情移入できないのはそれぞれの演技が酷くヘタクソだからなのかも知れない。
「お姉ちゃん、私お腹減っちゃったよぉ」
「御免よぉ、可愛い妹よ。だが、父上がこの様な状態になってしまった為に、私達には一切稼ぎがないのだ。おまけにこのご時世、私達みたいな幼子では仕事もなく、このまま私達一家は飢えと貧困に戦いながら生
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