第52話 花粉症対策は万全に!
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と思うんですけど」
新八の柔らかなツッコミが入った矢先の事だった。万事屋のインターホンが突如鳴り響く。誰かがやってきたのだろう。恐らく客なのでは?
「客か、こんな花粉症の時に一体何処の物好きだ?」
「とにかく出て見るアル。新八、行って来いヨ」
「おい、また僕かよ!」
「良いから行けよ、どうせ客の応対しか出来る事ない癖に!」
神楽の言い分に不満を覚えながらも仕方なく玄関へと向う新八。これが客なのならば丁重に扱わなければならない。下手に扱って機嫌を損ねてしまい、仕事をふいにするなど馬鹿げているからだ。
「はいはい、今出ますよ」
入り口の引き戸を開けた新八は見た。其処に居たのは頭に咲いた一輪の綺麗な花と、鉢の中に咲くこれまた一輪の綺麗な花。そして、それを持つ大柄で緑色の皮膚をした化け物の形相を持った巨漢。
その風貌は地獄の底から這い出てきたデビルを彷彿とさせるに充分足る井出達だったと言う。
ライオンの鬣の様な髭を持ち、二本の角はスケープゴートの様に曲がりくねっており、鋭い眼光がギョロリと得物を探し回り、口に並んだ鮫の様な牙からは得体も知れない臭いが漂ってきそうな感じがする。
そんな感じの恐ろしい風貌をした巨漢が花を携えて立っていたのだ。
(えええ―――! 何あれ、何あれ! 何で、何で家の前にデビル、嫌、魔王が居るのぉぉぉ! 別に此処魔王城じゃないんですけどぉ! ラスボスの居座る居城じゃないんですけどぉぉぉ!)
頭の中で早速パニックを起こし始めている新八。無理もないだろう。いきなり目の前にこうしてデカデカと悪魔の様な風体をした巨人が立っているのだから。
後ろに居た銀時達もまたその余りの恐ろしい風貌にすっかり固まってしまった次第でもある。
「どうも始めまして。今日この裏隣に越してきたヘドロと申します。どうぞ宜しくお願い致します」
悪魔の風貌をした外見とは裏腹に丁重かつ低姿勢かつ丁寧な挨拶をしてきた。そんなヘドロの挨拶に新八は震えながらただただ頭を上下に振る動作しか出来なかった。
「僕の名前の書き方ですけど、放屁の屁に怒りの怒、そしてロビンマスクの絽と書いて屁怒絽と書きます。一応花屋をやってます。色々とご迷惑をお掛けするかも知れませんが何卒宜しくお願いします。それと、これはお近づきのしるしにどうぞ」
ヘドロから丁重に渡された植木鉢を震える手で受け取る新八。鉢を渡すとヘドロはそそくさと万事屋を後にしていった。徐々にヘドロの重々しい足音が遠ざかっていくのが聞こえて来る。やがて、足音が完全に消え去ったと同時に、新八は恐る恐る首を銀時達の方へと向ける。その時の新八の顔は大層青ざめていた事この上なかったと言うそうだ。
「怖ぇぇよ! マジで怖いんですけどぉぉ!」
「何だよあの恐怖の面はぁ! 隣のヘドロマジで怖いんだけどぉ!
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