第52話 花粉症対策は万全に!
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で一同はドアを蹴破り外へと飛び出した。三人を出迎えたのは美しい青空と腹部へと激しい痛みであった。どうやら其処は巨木の天辺だったらしく、銀時達は慌てて飛び出したが為に手すりにそのまま体を打ち付けてしまったようだ。
「いたたた! マジでいた〜い、これ出ちゃうんじゃね? 昨日のパフェとか出そうなんだけどぉ!」
「ほ、本当に痛いんですけど、マジで痛い!」
「ふぐおぉぉぉ! 腹が、腹に諸に決まったアル〜〜」
三人揃ってその場で痛みを抑えつつ手すりに捕まっていた。見ればかなりの高さだ。其処から落ちたら下手すると命を失い掛けない。
そして、そんな高さだと言うのに銀時達の目の前には新八の手からすっぽ抜けたなのはがそのままベランダの外に飛び出している光景が見えた。
「え?」
「あ!」
一瞬の沈黙。そして感じる落下の感覚。銀時達が揃って身を乗り出して手を伸ばす。
間に合え! 間に合ってくれ!
祈る気持ちで銀時は目一杯手を伸ばし、落下しつつも銀時達に手を伸ばすなのはの手を掴もうとした。銀時の爪はなのはの中指を掠めるだけの終わった。
銀時の顔が蒼白に染まっていく。新八と神楽は大声を張り上げて必死に手を伸ばす。だが、間に合わない。
三人の目の前に映る遥か下の江戸の風景、そして落ち行く少女の光景が―――
突如三人の間に割って入るかの様に巨大な影が現れ、その影が腕を伸ばした。
伸びた腕は少女の片腕を掴み落下するのをその場で防いだ。
一同は見た。汗だくになり息を切らせたヘドロがなのはの手を掴み助けてくれた光景を。
「ヘドロ……さん?」
「大丈夫かい? お嬢ちゃん」
相変わらず恐ろしい形相をしていたが、そんな顔のままヘドロがにっこりと微笑んでくれた。その時のヘドロの顔はとても優しく見えたと言う。
***
それから数日、結局地球が侵略される事もなければ食人植物が現れると言う事もなく、江戸の町は平和そのものであった。
万事屋達が訪れたと言う事もあり、それからヘドロの営む花屋には徐々にだが人が訪れるようにはなったと言う。
が、やはり怖いので余り売れ行きは良いとは言えないらしいが。それでも、江戸の住人の中に溶け込めた事をヘドロはとても喜んでいた。
それは何よりと言える。そして、それから暫くの間は、万事屋の中でくしゃみが絶えなかったと言うそうだ。
つづく
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