第七章
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たよ」
苦労を苦労とは思っていなかった。だからこう言えるのだった。
「その間ね。見つけることができたし」
「それが君の捜していた赤だったというわけか」
「紫に一応なってるけれどね」
この辺りに関してはその首を少し捻ってみせるチャーリーだった。
「色の区分としてはね」
「この色だよね」
「うん、この色」
白いテーブルの上に置かれた白い布に塗ったその色を指し示しての言葉だ。確かにその色は紫がかった赤と言っていいものである。
「この色なんだよ」
「確かにね」
コリンはその色を見たうえで頷いた。
「これは赤だよ」
「君もそう思うかい?」
「今の僕達の色彩感覚で言えば赤だ」
一応前置きをしての言葉である。
「僕達の感覚ではね」
「そうだよね。今の感覚で言えばね」
「けれど昔は違っていたってことだね」
「そういうことだね。皇帝が使っていた紫らしいね」
「だから帝王紫というわけなんだ」
「うん。ローマ皇帝とかが衣に使っていてね。本に書いてあったよ」
「ああ、あれか」
そう言われて彼もまた学校での授業で先生に言われたことを思い出したのであった。チャーリーのそれと同じくその記憶はいささか弱いものではあったが。
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