始まり 2
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っていた身の保証と店の平和は今日はもう叶わなくなったという事でもあり。そして俺の眼前に立つこの悪鬼が、俺に対して猛威を振るうことはほぼ確実だという事でもある。
「てめーだけは許さねぇっ!! ぜってぇぶっ殺す!! 覚悟しろおらぁ!!」
語尾を段々と荒々しくしていき、最後は喚き散らすようにして暴言を俺に向けると、彼は掴んでいた俺の胸倉を突き放し左腕を大きく振りかぶる。俺は彼のその一連の動作を見て、瞬間的に殴られると直感した。
「くっ!」
俺は歯を食いしばる。こればっかりはしょうがない。彼には俺を殴りつける資格は充分にあり、俺が殴られる理由は誰しもが納得する内容だろう。ならば俺は潔くその暴力を受け入れよう。さぁ、殴れ。思い切り殴れ。俺を心ゆくまで殴れ。セリヌンティウスに殴られるメロスが如く、その拳で力一杯俺の右頬を殴るのだ。
「おらぁっ!!」
彼の左の拳が、俺の顔面に目がけて勢いよく向かってくる。
「ひいっ!」
しかし、彼の拳は宙を切る。俺は殴られるという恐怖に先程の強い意思は瞬時に屈し、慄いた体が咄嗟に身を屈めた。すると彼のそれは上手い具合に俺の頭上を掠め、彼は力一杯振った自分の腕の勢いにより、一歩二歩と前へとよろめいていったのだった。
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