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俺達のこれから
プロローグ
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 広くも狭くもない家のリビングで、ソファーに座りテレビを物静かに眺めがら時間を潰していた。黒いテレビのリモコンを手に持ち、チャネルの数字を適当に変える。映るのは、笑を取ろうと画面の中で励む芸人。恐ろしいくらいに冷たい目と口調で、陰惨な事件のニュースを読み上げ視聴者に伝えるテレビキャスター。紹介される食べ物をどれも美味いと大袈裟にリアクションを取るテレビリポーター。放送されている数々の番組を静観しながら、俺は独り言を憎らしく呟いていた。

「どれも、つまんねぇーんだよ。くそ芸人。必死こいて笑とろうとしてんじゃねぇーよ、見てて無様なんだよ」

「冷酷な女だな。お前に優しさはねぇーのかよ? 仕事なんだろぉーけど、見てて気持ち悪いわ。アハハッ」

「馬鹿みたいに大口開いて、口にするもの全て美味い美味いって、他に褒めるとこないのかよ。能無しが」

 合わせたチャンネル一つ一つに、ご丁寧に駄目だしを続ける。テレビと向き合い続けて数時間。日が沈み、薄暗くなったリビングの中でも、俺は黙々と明かりも点けずに汚い言葉を吐き散らしていた。 

 --ピピピッ!! ピピピッ!!

 テレビに映る様々な職種の人が、何かする度にいちゃもんを付けてはその相手を小馬鹿にするこの行いも、セットして置いた携帯のアラームによって止められる。俺は食卓の上に置かれた喚く自分の携帯を手に取って開き、画面を見ずに親指で何時もの様にアラームの音を消すボタンを押した。ピピピッと甲高い電子音が鳴りやむのを耳で確認した俺は、数時間もの長い間目を向けていたテレビから目を放し、ぼんやりと白い光を放つ携帯の液晶画面の方へと目を向けた。明かりも点けていない部屋だけあって、液晶画面に映る黒い文字列は冴えて見えた。俺はこの文字や言葉を目にしたり耳にすると、憂鬱なることが多い。何故ならそれは面倒だし、はっきり言って好きじゃないし、嫌いだし、その事を考えるだけで気が滅入る。嫌いな言葉や文字は多々あるが、今の俺の中ではこの「バイト」という携帯の液晶に打たれた三文字のカタカナがだんとつで嫌いだ。

「これから5時間。休憩時間を容れたら6時間・・・。あぁっ、鬱になりそうだ」

 だらしなくソファーに座っていた体を小さく縮め、三角に折り曲げた膝に顔をうずめる。真っ暗な空間。テレビから流れるノイズのような人の声。そして鼻で息を吸う度、微かに香る自分の体の匂い。膝から顔を出し、うっすらと目を開けて、呆然としながら考える。もう少ししたら嫌なことが待っていると言うのに、バイトに行くまでのこのどうでもいい数十分が、不思議と一番落ち着く。
 俺はその体勢そのまま深く息を吸い込み、ゆっくりと吐いた。俺は問題事を抱えると、不安で気が気でなくなることが多い。そして今、俺の目の前に居座るそれは、バイト先のコミュニケーショ
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