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恋獄 ― Rengoku ―
第一話 明日になれば…

[2]次話

「…俺、蓮見(はすみ)のことが……好き、なんだ」



 誰もいない放課後の教室。



梶田(かじた)…君っ」


 校内中に帰宅を促すアナウンスが、まるで理性のように聞こえた。



「返事を聞かせてくれる?」



 全て開け放たれた窓からは少し肌寒い、初夏の風が荒々しくカーテンを翻す。



「私も…好き、だよ」



 明日には六月になってしまう五月三十一日…。



「っ!」



 明日には忘れてしまう…。



「………………ごめん、急に」



 互いの唇の感触でさえも……。



「ううん……いいよっ」


 遠くで響く夕焼け小焼けが辺りに鳴り渡る頃、二つの影も再び一つに重なる。


「あっ……はあっ」



 この熱さえも明日になれば忘れてしまう…。



「…愛してるっ」



 この想いさえも……全て私に置いて行く。



[2]次話


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