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とらっぷ&だんじょん!
第一部 vs.まもの!
第6話 きせき?
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。じゃ、俺たちは左の道行くぜ。お前らは右行けよ」
「そうですね」
「決まりぃ! じゃ、後は早く見つけてアッシュに渡すだけだね!」
「死んでなければな」
 パスカが嘆く。
「お前はまたそういう事を……」
 ウェルドは「へっ!」と短い笑いを残し、右手の通路へと、先に立って歩いて行った。

 ※

 最初の扉を通過すると、ようやく魔物の姿が見え始めた。天井一面に黒い物が蠢いていると思ったら、それは蝙蝠の化け物で、ウェルドは襲い掛かるそれをバキュームで吸って消滅させ、巣をノエルの魔法が焼き払った。
 道は進むほど足場が悪くなり、捲れあがった床のタイルや崩れた壁がウェルドをうんざりさせる。
 倒れた柱の下を這って潜り、その先の光景を目にし、思わず「うへっ」と声を漏らした。
「どうしたのですか? ウェルド」
 続けて柱を潜ってきたエレアノールも息をのむ。最後に来たノエルが頓狂な声をあげた。
「何これ!」
 浮遊する柱が荒れた遺跡の中を縦横に動き回っている。その数は、見える範囲だけでも二十は下らない。めいめいが規則正しく動作する柱は、迂闊に近寄ればどのような動きを取るかわからない。柱と柱に挟まれてむごたらしく圧殺――という事も考えられる。
 頭上で蝙蝠の群れが蠢いた。天井から二、三匹の大蝙蝠が飛来し、三人に威嚇音を発する。
 ノエルが呪文を唱えた。杖の頭に古代レノス文字の呪句が淡く浮かびあがり、炎のスパイクに姿を変えて蝙蝠を貫通した。炎が天井を覆い、混乱し燃え盛る蝙蝠が三人の顔の前にも飛んできた。
 ウェルドがバキュームのトラップを出す前に、エレアノールが左手のトラップカプセルに念じた。彼女のトラップが発動し、トラップの上を通過した蝙蝠が凍りつく。
 おお! と、ウェルドはバキュームで魔物を吸いながら心の中で叫ぶ。あの陰険ぼっち野郎の魔法と同じ効果のトラップじゃねえか。ならこれからはあの陰険ぼっち野郎じゃなくてエレアノールを誘うべきだな、好みだし――じゃねえ! 違ぇし!! 頭良さそうだからだし! 遺跡の知識とかありそうだからだし! 性格いいし! 大人だし!
 などと自分に言い訳している間に大掃除が終わった。
「慎重に行こうぜ」
 自己嫌悪を押し殺し、ウェルドが先頭に立った。
 タイルや魔物の死骸を柱に投げつけて様子を見たが、動く柱は反応しない。恐る恐る接近してみるも、やはりこれと言った反応はなかった。
「大丈夫だ、来いよ」
 もともとは侵入者を排除するための装置だったのだろうが、遺跡が荒廃したせいで壊れてしまったのかもしれない。柱の動きをよく見て観察し、それが通らない地点を見極め一人ずつ順に通過する。
「ウェルド、質問があります」
 もしこの言葉を掛けたのがあの陰険ぼっち野郎(名前も言いたくねえ!)だったら間髪入れず
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