参_冷徹上司
五話
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またま通りかかったのか、唐瓜と茄子が箒を担いだまま駆け寄ってきた。
「あ、あはは・・・・・・ちょっと、びっくりしてん」
「ああ、金魚草の鳴き声ですか!」
「俺これ好きー。おもしろいから!」
ミヤコはよいしょと立ち上がり、着物についた土を払った。
金魚草はもう鳴き止んで、またゆらゆらと揺れていた。
「もう大丈夫。二人とも、掃除ですか?」
「いえ、さっき終わって、片付けるところです。でもまだ仕事があって」
「これから壁に絵を描くんだー。こまめに手を入れないと、すぐに劣化しちゃうって鬼灯様が」
「絵?」
「前にここの庭の壁に描かれていた葛飾北斎の絵がボロボロになっちゃったことがあって、茄子が代わりの絵を描いたんです。今日はこれからその絵の修正に」
「か、葛飾北斎?富嶽三十六景の?」
「俺もびっくりですよ。このおたんこ茄子が、北斎さんの上に絵を描いちゃうなんて」
唐瓜は笑いながらそんなことを言うし、茄子は茄子でのほほんとしているし、葛飾北斎の生の絵がこんなところにあるなんて。
今すぐに写メを撮りたい衝動に駆られたが、携帯電話はここに来た時には見当たらなかったし、きっと現世に置いてきてしまったのだろう。
これは美大出身として心をくすぐられる。
「わたしな、現世で絵の勉強しててん」
「えっ、そうなんだ!じゃあ、一緒に行こうよ」
まあ、ちょっとくらいならいいやろ。
ミヤコは思った。
金魚草にはちゃんと水はあげたし。
「よし、腕の見せ所やな!」
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