第二話 目覚める炎その十二
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「君が来た時に作って欲しいとね」
「シェフかよ」
「うん、いるんだ」
「いいよな、シェフの人までいるってな」
薊はその話を聞いてまた言うのだった、その生活はまさに夢の様だと。
「先輩って本当に金持ちなんだな」
「お金があることは否定しないよ」
「絵に描いたみたいだな、まあその時はな」
「すぐに来ることになると思うから」
「?すぐにかよ」
「うん、すぐにね」
そうなるというのだった。
「僕は待っているからね」
「何か先輩の話ってわからないことが多いな」
「今は、と言っておくよ」
「今はか。じゃあこれからはわかるんだな」
「そうだよ、ではね」
「ああ、またな」
智和の方から一時の別れの言葉を言ってだった、そのうえで。
薊も挨拶をした、そうして二人は今は別れた。薊はすぐに部活に戻りそれを楽しんだ。そして制服に着替えて寮に帰る時に。
裕香と会った、それでだった。
裕香からだった、こう言って来たのだった。
「ねえ、寮までね」
「一緒にだよな」
「うん、帰る?」
「そうしようか、じゃあ寮に帰ったらな」
「どうするの?」
「まずはお風呂に入って」
そしてだというのだ。
「そこで綺麗になってからな」
「御飯かしら」
「いや、お風呂は入られるよな」
「ええ、十一時までね」
「今七時だからな」
そろそろ暗くなろうとしている、赤い日が完全に沈み世界は夜の闇に覆われようとしている。
その中でだ、薊はこう裕香に言ったのだ。
「まずは御飯だよな」
「そうね、お風呂は遅くまでやってるけれど」
「御飯は違うよな」
「早いうちに食べないとね」
「駄目だよな」
「御飯は七時から八時までよ」
一時間、それは決まっているというのだ。
「だからその間にね」
「食べないとな」
「だからここはね」
「御飯の方がいいよな」
「あっ、一応遅れるのだったら食堂に連絡してね」
遅れるとだ、そう言えばというのだ。
「そうすればいいから」
「それで食えるんだな」
「そうなの、あとお風呂はね」
裕香はまた風呂の話をした。
「四時半から十一時までだから」
「長いな」
「お掃除は朝の寮全体のお掃除の時にね」
しているというのだ。
「薊ちゃんもお掃除してたけれど」
「トイレ掃除な」
「お風呂をお掃除することもあるからね」
「掃除な、それだけは忘れるなってさ」
薊は右手を自分の頭の後ろにやってやや神妙な顔になって述べた。
「孤児院でも先生達に言われたよ」
「綺麗にしろってことね」
「ああ、清潔にってさ」
そう言われたというのだ。
「だから習慣になってるよ」
「毎日してなのね」
「そうなんだよ、いいことだよな」
「そう思うわ、やっぱりお掃除しないとね」
「汚
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