第二話 目覚める炎その八
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「試合に専念しろ、ちゃんとした拳法をしてそのうえで勝つことを目指せってさ」
「そう言われたのね」
「そうなんだよ、どんな技を使って勝つかじゃなくて」
「見せるのじゃなくて」
「どの相手にどの技が一番いいかを考えて」
そのうえでだというのだ。
「出せる技まで考えてさ、自然にな」
「無理はしないのね」
「そう、それが大事なんだよ」
そうだというのだ。
「あまりそこでさ」
「こだわらないのね」
「それが大事って言われたよ。傍から見れば決まればどんな技も綺麗だってな」
そういうものだともだ、言われたというのだ。
「そうも言われたyほ」
「いいお師匠さんだったのね」
裕香は薊が自分の師に言われたことをここまで聞いてだ、そして薊のその語る時の嬉しそうな顔を見て言ったのだった。
「本当に」
「そう思うよ、あたしもさ」
「いいお師匠さんだったのね」
「今も横須賀にいればいるよ」
薊の故郷と言ってもいいだ、その街にだというのだ。
「華僑でさ、理髪店もやってて」
「散髪屋さんなのね」
「何でも昔はシナトコって言われてたらしいんだよ」
「シナトコ?」
「ああ、何か中国人だから支那でさ」
中国は戦前この呼び名で呼ばれていた、始皇帝の秦から来たと言われ差別用語ではない。ただしそこに悪意や侮蔑が入ればどんな言葉も差別用語になる。
「トコは床屋さんで」
「散髪屋さんね」
「そう呼ばれてたんだよ」
「成程、そうなのね」
「そうなんだよ、今でも何かシナトコの爺さんとか呼ばれてるよ」
「横須賀でなのね」
「あたしにとっては散髪屋さんっていうより師匠さ」
拳法のそれだrというのだ。
「髪の毛も切ってもらってたけど」
「縁のある人なのね」
「そうなんだよ、ガキの頃から拳法を教えてもらってて」
「聞いたけれど薊ちゃん七節棍使うのよね」
「ああ、三節棍じゃなくてさ」
そちらだとだ、薊も答える。
「あたしが使うのはそっちなんだよ」
「七節なのね」
「最初は使うのに滅茶苦茶困ったけれどさ」
「今は?」
「使えば使う程面白くなってさ」
それでだとだ、薊は今度はその自分が使っている七節棍について話すのだった、裕香にも他のクラスメイト達にも。裕香は聞き役に回っている。
「今じゃな」
「余計になのね」
「そうなんだよ、七節棍を使って」
そのうえでだというのだ。
「足も使ってさ」
「棒を使いながら足もなの」
「そうなんだよ、七節棍だから前に伸ばすと凄い長さになるけれどさ」
この辺りは三節棍もそうだがそれ以上の長さになるというのだ。
「それで飛ばしたり」
「そうしてなの」
「足も入れてさ、そしてやるんだよ」
「随分複雑な攻撃みたいね」
「見ている分にもそう言われるよ、けれどさ
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