第二話 目覚める炎その七
[8]前話 [2]次話
「それこそね」
「だからね、横浜もね」
「何時かはよ」
「最下位脱出出来るから」
「優勝出来るよ」
「だよな、何時かはな」
薊は周りのその言葉に頷いて応えた。
「だからだよな」
「そう、今は弱くてもよ」
「強くなるから」
「努力すればね」
「育成をちゃんとしていくと」
どんなチームでもだ、強くなることは出来るのだ。
「強くなるわよ」
「徐々にだけれどね」
「地道に、なんだよな」
それしかないとだ、薊も腕を組んだまましみじみとした口調で述べた。
「やっぱり」
「そう、地道にね」
「トレードも補強も」
「阪急や近鉄もそうだったし」
「西本さんは本当に地道だったから」
だからこそ弱小球団を優勝させられたのだ、弱小球団を優勝させたということについて西本幸雄の右に出る者はそうはいない。
「だから横浜もよ」
「地道よ、やっぱり」
「地道にやるしかないわ」
「派手に動くのってな」
どうかとだ、薊はここでこう言うのだった。
「拳法でもな」
「狙うと駄目?」
「そうなのね」
「ああ、かえって狙うとさ」
そうするとだ、どうなるかというのだ。
「そこにばっかり気がいってさ」
「怪我するのね」
「そうなるのね」
「ああ、そう言われたんだよ」
己の過去のことから話したことだった。
「だから派手な、見せることは試合とかではな」
「しない方がいいのね」
「怪我をするから」
「そういうことなのね」
「ああ、横須賀でのお師匠さんにそう言われたんだよ」
こう今の仲間達に話すのだった。
「怪我は一生だからってな」
「そうそう、大きな怪我とかしたらね」
「怪我って一生ものになるからね」
「だからよね」
「余計な動きはしない方がいいのね」
「そう言われたよ、モトクロスでもな」
もう一つ薊が力を入れているそちらもだというのだ。
「派手に動くんじゃなくて」
「地味でもなのね」
「怪我しないことが大事なのね」
「そりゃさ、見せる場合もあるよ」
そうしたケースもあるというのだ。
「拳法でも演舞あるし」
「剣道で言うと型よね」
クラスメイトの一人が剣道に例えてきた。
「それよね」
「そうそう、あたしは剣道は専門外だけれどさ」
「剣道で言うとよね」
「というかそのままだよ」
型になるというのだ。
「まさにさ」
「そうなのね、やっぱり」
「ああ、その場合は見せるんだよ」
即ちだ、派手に動くべきだというのだ。
「充分にさ」
「そうよね、やっぱり」
「けれど試合とかの場合は」
その場合についてはどうかとだ、薊はこのことについては確かなそして鋭ささえある声で言うのだった。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ