アリシゼーション編
episode1 隠された真実3
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な特技なんぞ無かったとしても、彼らを覚えるのは容易だったろう。
―――『四神守』。
彼らほどの個性があれば、忘れることのほうが難しい。
長男、四神守玄路。飛鳥時代から続く名家、四神守のあとを継ぐ人間にして、分野に捕らわれない幅広い活躍をし、土木、建築、不動産、経済、果ては軍事に至るまで日本の随所にその人脈を行渡らせる、この国を影から操る存在の一人。
その遍歴と裏腹に、一人の人間としての彼はどこまでも掴みどころのない人間だ。父親……つまりは今代の『四神守』当主である宗源がまさに威風堂々、質実剛健を体現した人物であるのに対して、彼はそのような面が一切ない存在だった。そんな彼が、いかにしてその父親に真正面からの一本勝負に打ち勝った、というのは、俺は今でも信じられない。
長女、四神守蒼夜。兄である玄路さんがあらゆる分野に手を伸ばす者ならば、蒼夜さんはそのポテンシャルを「医学」という一点に集中させた者と言えるだろう。まだ五十にもならないような若さで……四神守の系列病院とはいえ……大病院の院長となったような、こちらも麒麟児だ。
専門分野は、脳神経系。内科、外科、あるいは精神科すらも含む幅広い知識と手技をもった、医学の常軌を逸した女傑。彼女の抱える従者たる『神月』達には何人もの有能な医者がおり、筆頭たるリュウさんに至ってはこの国でも五本の指に入る救命医だそうだ。
次女、四神守朱春。彼女はイレギュラーと言っていいだろう。俺と同じように本家を出て……っていうか俺の母親だ。どこの馬の骨とも知れない外人のおっさん(年は知らんが)だった俺の親父に……たぶらかされたのか惚れたのかは知らんが、駆け落ちという暴挙をなした愚か者、というわけだ。
……だが、俺は知っている。あの人が、二人の兄姉に勝るとも劣らないポテンシャルを、しっかりとその身に宿していることを。……それが、どのような形で現れるのかは、俺は今はまだ知らないのだが。
そして最後の一人、……次男、四神守呼白。かなり年の離れた叔父は、こちらも蒼夜さんと同様に持てる才能の全てを一つの分野に注ぎ込んだ存在だ。
その、分野。
それが、この度の鍵となった。
俺はかつて一度だけ、その話をしたことがある。
―――「量子脳力学」。
かつてかの狂気の天才、茅場晶彦が専門とした、その人を超えた神の科学だった。
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