アリシゼーション編
episode1 隠された真実3
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、まだあるのだ。
そして。
―――こんなのが彼女の最後だなんて、悲しすぎるだろう。
確信する思考とは別に、滾る思いがあった。
あの誰もが疑心暗鬼になっていたデスゲームの中で、彼女がどれだけのプレイヤー達の支えとなってやっていたか。あんな昏い世界のなかで、彼女がどれほど光となっていたか。彼女の笑顔が、彼女の声が、彼女の行動が、どれほどにゲームクリアの助けとなったか。
その彼女が、こんな報われない最後を迎える。
こんな報われない最後を、『二度も』迎えるなんて。
(……そんなことが、あってたまるかよ。……もしあるなら俺が神様の横っ面に助走付けて拳を叩き込んでやらぁ。……それに)
拳を握る。
(……俺が、二度とさせねえ。……今度こそ、させねえ)
あの日は届かなかった、その俺の手。
今なら、届く。
「……ご主人様……」
「心配ないんですよ、牡丹さん。……牡丹さんが、どこまで知っているか、俺は知りません。きっと俺より詳しいでしょう。……でも、それでも。……今はまだ、『最後』じゃない。ここから大逆転が、十分に可能なんですよ。少なくとも『四神守』はそう思ってる」
その手段がなんなのか、俺には分からない。
見当もつかない。
けれども。
「幸いなことに『四神守』……特に玄路さんは俺のことをやけに買ってくれてるみたいでしてね。今回もどうやら俺にはやることが……できることがあるらしいんですよ」
彼らは知っている。
蒼夜さんは、そう言った。
「ソラの命がかかってる、ってのが気になる……っつーか、『気に食わない』ですけど、この際です。俺にできることがあって、それがソラを助ける道に繋がるってのは、悪くないですよ……いいえ、違いますね」
だから、俺は笑う。
ソラへの狂おしいほどの想いを、その死への恐怖を。
あの日味わった絶望を、粘つくような冷たさを。
それらを全部跳ね除けて、俺は笑う。
「……最高ですよ」
声に、そう出して。
さっきは助走付けて横っ面殴り飛ばすとか言っといてなんだが、どうやら神様ってやつはそれなりにお人よしなのかもしれない。こんな負けてばかりの脇役にも、「敗者復活」のチャンスを与えてくれるなんて。
笑う俺を、涙の止まらない目で見る牡丹さん。
その視線を感じながら、俺は手のひらを電燈に翳す。
―――この手は、今度は届く。
根拠はない。
それでも、「そうさせる」という強い意志で、俺は自分にそう確信させる。
それは自惚れでなく、自分自身の支えとなってくれた。
◆
俺は職業柄、それなりに人の顔や仕事を覚えるのは得意だ。
だがそん
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