第四章
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ぐに扉が閉まる音がした。もうそれからは何の音もしない。ただ怒り狂った群衆の言葉が聞こえるだけであった。司祭はその彼等のところに向かう。既に無理だとわかっていても。それでも。
「止めるのだ!」
「無理だ!」
彼等はもう司祭の言葉を全く聞こうとしない。
「あいつのせいでまた多くの人が死んだんだ!」
「今度こそ!殺してやる!」
めいめいその手に斧や鎌、鍬を持っている。普通に彼等の家にある農具が武器になっていた。禍々しい光を放って上に向けられていた。
「そうして!これで!」
「悪魔がいなくなるんだ!」
「悪魔か」
司祭はその彼等の顔と声を見て気付いた。老人を悪魔だと罵る彼等の顔こそが。最早完全に悪魔のそれになっていたのだった。彼等は気付いていなかったが。
「それはここにいる」
「そうだ!ここにいる!」
司祭の言葉も正常には聞けなくなっていた。
「あそこに!だから!」
「火はあるぞ!」
誰かが叫んだ。
「悪魔を焼き殺す日が!」
「ああ、そうだ!」
それを聞いてまた誰かが叫ぶ。
「焼き殺せ!」
「骨一本残さずにだ!」
司祭は既に後ろから押さえられている。それで動けないようにされていた。
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