悲しみを背負うには
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そう言うと、目を向けた。
その視線の先には、俯くアランがいる。
「アラン・・・ずっと黙っていてもらってすまなかったな」
『!』
ウェンディとココロがその言葉に反応し、アランに目を向けた。
その視線を感じたのか、アランがポツリポツリと語り始める。
「・・・みんなと初めて会った時から、何か違和感があった。最初のうちは気のせいだろうと思ってたんだけど、だんだん気になってきて・・・マスターに聞いたんだ。そしたら・・・今の話を全部聞かされたよ。ニルヴァーナの事も、みんなの事も」
ずっと知っていた。
知っていながら、言えなかった。
言えばウェンディとココロが辛い思いをするから。
「だから僕はニルヴァーナがどんな魔法か知ってたし、ニルヴァーナを破壊すればマスター達がどうなるかも解ってた・・・でも、何も出来なかった」
連合軍として、ニルヴァーナを破壊しなければならない。
が、破壊すれば役目が終わったローバウルは消え、その魔法であるメンバー達も消える。
そしてニルヴァーナを放っておけば、どちらにせよ化猫の宿は闇に落ちて傷つけ合う。
どれを選んでも繋がる結果は同じだった。
「このギルドは・・・化猫の宿は・・・」
ゆっくりと顔を上げる。
その桃色の目から、涙が流れた。
「僕達3人の為に、作られたギルドだから・・・」
たった3人。
ローバウルは3人の少年少女の悲しむ顔を見たくないが為に、全てが幻のギルドを作り出した。
結果として、7年前に泣く事は無かった。
その分の涙が・・・今流れている。
「そんな話聞きたくない!バスクもナオキも消えないで!」
「イヤだよ・・・みんなとずっと一緒にいたいよ!」
何も聞きたくないというように、ウェンディとココロは耳を塞ぐ。
消えないでと叫び、懇願する2人をアランは見つめていた。
「ウェンディ、シャルル、ココロ、アラン・・・もうお前達に偽りの仲間はいらない」
そう言って、ローバウルはゆっくりと指さす。
3人の背後を。
「本当の仲間がいるではないか」
そこにいるのは、ナツ達連合軍。
激戦を勝ち抜いた彼らは既に仲間だった。
ローバウルは微笑む。
優しい笑顔を浮かべる。
「お前達の未来は始まったばかりだ」
そう呟くローバウルの体も透け始める。
その姿が、薄くなっていく。
「「「マスターーーー!」」」
消えゆくローバウルにウェンディとココロ、アランは腕を伸ばして駆け寄る。
確かにこのギルドは幻の仲間で構成されて、マスターは肉体無き亡霊だったかもしれない。
だけど、それでも。
ウェンディ達に
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