自称王と他称王
三話
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り、頼まれてた件だが」
「ごめんね、急な頼みで」
「いやなに、元々騎士カリムとシスターシャッハには傷害事件の顛末を伝える予定だったんだ。大した手間じゃないよ」
チンクはティアナの前にデータを開く。
映し出されたのは、アインハルトとアレクの初等科時代の成績等が記されたデータ。
アインハルトの成績は優秀。社交性にやや欠ける所があるが、他の評価は総じて高い。
対してアレクの成績は、かなり悪い。テスト等は赤点すれすれで、授業態度も悪し。月に何度かの無断欠席を繰り返すという。ただ、校内で喧嘩騒ぎを起こしてない所は、評価してもいいかもしれない。
「お〜、ヤンチャなんスね〜」
「シスターシャッハも手を焼いておられたそうだ」
「……容易に想像できるわ」
苦笑気味で言うチンクの言葉もあまりに予想通りだったので、ティアナはさぞかし苦労しただろうシャッハを心中で労った。
オットーとディードに至っては、陛下と会わせていいものか、もし粗相を犯したら断罪すべきか、等を話し合っていた。
「お待たせノーヴェ!」
「お、来たか」
データを閉じ、声のした方へ振り返ると、ヴィヴィオの姿があった。
後ろには同じ初等科の制服に身を包んだ二人の少女の姿もある。以前メールで知らされたコロナとリオだろう。
ヴィヴィオは挨拶を済ますと、目を輝かせながらノーヴェに食い付いた。
「ねぇねぇノーヴェ、紹介したい子ってどんな子? 流派は?」
「お前んとこの中等科一年生で、流派は……旧ベルカの古流武術だな。あとお前と同じ虹彩異色だ」
「え、ほんと? その人強いの?」
「ああ、良い線いってる。……まあ、もう片方はまだ判んねえけどな」
「え? もう一人居るの!?」
ヴィヴィオは待ちきれないのか矢次に質問を飛ばす。余程楽しみしているらしい。
「とりあえず座ったら?」
「え? あ、そうですね」
「向こうからも終わったってメールきたし、逃げは……」
……しないよな? と目で問うノーヴェにティアナは即答できなかった。片割れは逃げ出した前科があるだけに、言い切れないのだ。
「……まあ、大丈夫でしょ」
「……だよな」
「……真っ直ぐ来るよ、たぶん」
キーは未だティアナの手中にある。だから大丈夫だろう。アレクの悪態を直接知る三人はそう信じた。視界の端で他人事のようにケラケラ笑っているウェンディが疎ましい。
事情を知らぬヴィヴィオは首を傾げながらオットーが勧める椅子に腰かける。
「大丈夫です。陛下は僕らがお守りしますので」
「え? うん、ありがとうオットー……?」
どういう事なんだろう、とヴィヴィオはコロナとリオの方を向くが、当然二人も知る筈がない。分からないと首を傾げるだけだった。
ど
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