第5章 契約
第85話 聖戦対策
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は考えるだけでぞっとする物と成るはずです。
未だ銃が発達して居ないこの世界の戦争は集団戦。判り易く言うならマスゲーム。
隊列を組み、長槍で相手を威嚇し、大盾に因って弓や黎明期の銃を防ぐ。
其処に精密な砲撃を戦車から行われると……。
まして、被害を顧みずこちらから接近出来たとしても、大抵の戦車には副武装の機銃などが装備されているはずですから……。
これまでこの世界で行われて居た戦争の常識を根底から覆すような、超未来の兵器の登場と成るはずです。
地球世界の戦車が戦場に投入されると言う事は。
しかし、
「そんなに簡単に無力化出来る物なのかい、あの兵器は。長さは十メイルほど。高さは三メイル。ゲルマニアに潜入している人間からの連絡では、水中を潜って河を渡る能力も有して居るようなんだけど」
ティターニアが答えを返す前に、イザベラが口を挟んで来る。
確かに、鋼鉄製で非常に頑丈な造りに成って居るのは事実ですが。
「あれは単体で飛行が出来るようには成って居ません。まして、堅い大地の上で運用される仕様です」
何の事はない。要は、底なし沼にでも引き吊り込んで仕舞えばそれで終わりと言う事。泥田坊、泥狐、マッドマンなどの地属性で、底なし沼に引きずり込む、などと言う伝承を有して居る妖鬼系が適任ですか。
もっとも、もっと簡単に勝負を決するのなら、地霊たちに、土の中から吸着地雷のような物を戦車の腹の下に設置して貰えば、それだけで終わる代物なのですが。
戦車と言う物は、前面や側面の装甲に比べれば、上部や下部は非常に脆い装甲しか存在して居なかったと記憶して居ますから。
上と下。脆い物よ、と言う感じですかね。
「ただ、無暗矢鱈と戦死者が出るのは防ぎたいですから、戦車の二千メートル以内にはガリアの軍隊は近付かない事」
そして、それはゲルマニアの方の兵にも言えます。
流石に、楽勝で殺せそうだから敵兵は後腐れなく殺して置く、では問題が有りますから。
不必要な人死には防ぐ。相手の目的が本当に聖戦を起こして聖地を奪還する事なのか、
それとも、別の理由。多くの人間、その他の生命体を死に追いやって、世界自体を陰の気で満たす事なのかがはっきりしませんから。
「レヴァナ。ウヴァル。二柱はゲルマニア、ロマリア双方の軍隊の動きの予想を頼む。
戦車以外の危険な兵器。特に、核兵器などの使用の兆候を感じ取ったなら、即座に知らせて欲しい」
続けて、その職能に未来予知を持って居る二柱に依頼を行う俺。
確かに、ロマリアの聖堂内で行われている密談の内容を予測する事は、この世界のブリミル教と俺やタバサの式神たちの魔法の相性が悪過ぎて難しいのですが、其処から一歩でも外に出たら問題はないはずです。
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