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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第85話 聖戦対策
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葉にも合致します。

 要は、聖戦を阻止しろ、と言う事なのでしょう。
 確かに、地球世界のカトリックの聖職者の中にも、十字軍の遠征に対して異を唱えた聖職者は存在して居ますから、ハルケギニアの神官の中にも同じ考えを持つ者が現われたとしても不思議では有りません。

 俺の問い掛けに、無言と言う答えを返して来るイザベラ。
 相変わらずの口角にのみ浮かべる笑みを、コチラに見せたままで。

 成るほどね。それならば、

「聖戦に参加するかどうかの回答期限は、降誕祭の休戦が明ける一月(ヤラの月)第二週(ヘイムダルの週)、エオーの曜日でしたよね?」

 それ以前にガリア国内に向けては不参加を表明しはしますが、外交関係の約束とは国民に対する発表とは違った物と成る可能性もゼロではないですし、そもそも、そのブリミル教の神の降臨を祝う祭の間は、ロマリアもゲルマニアも表立った動きは為さないでしょう。
 どちらもブリミルの敬虔な信徒を自称するのならば。

「流石に、ロマリアも、そしてゲルマニアも回答期限までは待つだろうさ」

 そうすると、最短でゲルマニアとロマリアが事を起こすのは第二週のマンの曜日以降。余裕は二十日程度。
 時間が有り余っている訳ではないか。しかし、

「完全に両国の足並みを乱す事が出来るかどうかは判りませんが、私にひとつの策が有ります」

 この策が上手く行けば、ロマリアの方は軍隊を動かす事は出来なく成るでしょう。
 ロマリアの方の指揮官は、俺が聞いた範囲内では聖職者が務めて居たはず。こう言う連中なら、夢の御告げは信じやすい。
 この世界の司教と言う連中。特に旧教に属する連中は、どうやって領有する荘園から金貨をかき集めるか。どうやって領民から差し出させた娘の味見をするか。こんな事ばかりを考えている連中の事なのですが、それでもある程度は信仰の世界に生きているのも事実。
 まして、ゲルマニア皇帝の名前がアルブレヒトで、其処に更に『贖宥状』が絡んでいるのなら、この両国の足並みを乱れさせるのは児戯に等しい。

 もっとも、教皇の名前がレオ10世ではないので、完全に地球世界の歴史をなぞるとも思えませんが。

 其処まで考えた後、少し思考を巻き戻し、両者の接点に気付く俺。
 そう。俺の記憶に間違いがなければ、レオ10世は史上最も若く、醜男の教皇と呼ばれた人物。
 対して聖エイジス三十二世は、史上最も若く、美しいブリミルの代理人と呼ばれている人物。

 もしかすると、異世界同位体……。次元を超えた歴史上で、同じ役割を与えられた人物の可能性もゼロでは有りませんか。

「アンタやシャルロットが直接ロマリアに乗り込んで行って工作を行うのでないのなら許可をする。流石に、敵地と判って居る所にふたりを送り込む訳には
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