第5章 契約
第85話 聖戦対策
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まろうと言う時に、トリステインを相手にする小さな戦争などをしては居られないでしょう。
指導部がどう思おうとも、国政の内部にまで深く食い込んだ宗教の指導者の方が言う事を聞かない可能性が大ですから。
ここまでは、差して重要ではない部分。
そして、ここから先の答えが、俺の暮らすガリアに取っては重要と成る部分。
「ロマリアの軍に今の所、目立った動きはなし」
但し、ロマリアと我が国の国境には火竜山脈が存在して居る為、陸軍以外にも、ナポリの艦艇の動きにも気を配る必要は有る。
先にそうイザベラは答えてから、一度呼吸を整え、
「ゲルマニアは既にガリアとの国境線に向け軍を動かしつつあるよ」
……と、少し問題の有る内容を告げて来た。
そう、これはあまりにも対応が早すぎる。
確かに、ゲルマニアの同盟国トリステインがアルビオンとの戦端を開いてから既に一カ月半以上。その間、トリステインはアルビオンに勝ち続けて居り、既にアルビオン第二の都市エジンバラを押さえて居ます。
その勝ち戦に便乗して援軍を送り、戦後の交渉に参加する心算で戦争の準備をしていた可能性もゼロでは有りませんが……。
しかし、それにしては、
「確か、ゲルマニアの海軍の拠点は北方のヴィルヘルムハーフェンの地でしたよね」
首都のウィンドポナが確か内陸部に存在していたと思いますから、其処から兵を徐々に前線に移行して行くとすると、西から南に当たるガリア国境に既に軍を展開させようとしているとすると少し不審……。
更に、
「ゲルマニアにも常備軍のシステムはなかったはずですよね」
イザベラの答えを待つ事もなく、矢継ぎ早に次の問いを発する俺。
もっとも、こんな事を聞くのはこの場では俺だけ。タバサは政治に関しても軍事に関しても口出しして来る事はなく、その他はすべて人間界の事に関しては無関心の式神たちとこの世界の精霊王二柱。
当然、全員が質問を行えば答えてはくれますが、積極的に会話に参加して来るような連中では有りませんから。
「まるで、今回の聖戦の発動が最初から判って居た、かのような対応だと言いたいんだろう?」
口角にのみ浮かべる、酷く人の悪い類の笑みを浮かべたイザベラ。
もっとも、この状況を聞けば誰でもゲルマニアが聖戦の開始を予測していた、もしくは知って居たのではないかと疑うとは思うのですが。
「三年前からゲルマニア王家が発行する贖宥状の数が異様に増えて居たんだよ」
澄まして立って居たらそれなりの美人。口を開けばかなり幻滅。そして、今浮かべて居る笑みが彼女の本質を現している。そう感じさせるイザベラが、更に言葉を続けた。
但し、地球世界の日本の普通の高校生に贖宥状などと言う言
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