第四章
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をお話できて何よりです」
「そうでしたか」
「覚えておいて下さい。あの人の戦いを」
僕はこうも言われた。
「何があって何に対して戦われたのか。よく」
「わかりました」
僕は老人のその言葉に頷いた。そうして言った。
「この心の中に留めておきます」
「それであの人は生き続けますから」
「それでですか」
「ええ、それで」
また答えてくれた。
「あの人がそれを喜ばれるかどうかわかりませんがね」
「人は人の心の中にある限り生き続けるのですね」
「私はそう思います」
それがこの老人の考えであった。それは今はっきりとわかった。
「ですから私は貴方にお話させて頂きました」
「有り難うございます」
僕はそのことに対して礼を述べた。それがとても嬉しかったのだ。
「ではあの人にはこれからも」
「生きていて欲しいですね」
「そうですね、本当に」
僕は最後に老人のその言葉に頷いた。左に暖かい日差しを感じながら。もう戦争も共産主義もなくなったが。あの作家のことはまだこの世にあって生き続けているのだった。この老人と僕の中に。
作家 完
2007・12・15
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