第三章
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「だってさ。革命だって言っているのは知識人だ。彼等があそこまで酷いと」
「周りにも移って」
「それは恐ろしいことになるよ。それを思うとね」
「気が重くなりますね」
「これから書きたくないことを書くかも知れない」
作家はボソリと呟いた。
「これからね。どうなるかわからない、自分でも」
「無理は為さらずに」
「無理か。するかもね」
それも否定できなかった。自分自身で。
「それでも書いていって」
「どうされますか?」
「戦うまで戦うよ」
今度は戦うと言い出した。
「僕なりにね。これから」
「そうされるんですか」
「まあ見ていてよ」
編集者に対して微笑んでまた述べた。
「僕がね。この細い身体でどう戦うのかをね」
「わかりました。それでは」
編集者も彼の言葉に応えて頷く。
「それを側で拝見させて頂きます」
「うん」
作家は編集者のその言葉にまた笑顔を見せて頷いた。これが彼の戦いのはじまりであり戦後間も無くその新しい権威や思想に対抗し続け作品を書いていった。それは今でも残り彼の当時の戦いを見せているのであった。
「あれは昨日の話に思えますよ」
かつて編集者だった老人は目を細めて僕に教えてくれた。もう家から出ることも殆どないが今でも矍鑠たるものである。そうして僕に話してくれるのだった。
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