反董卓の章
第24話 「……もう、決めたから」
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状況を知らん。
知っているつもりであったが……そう、それはあくまで檄文による情報じゃ。
儂が登城しなくなって約一年、その間に起こったこと、そしてその状況は全くわかっていない。
「最初、少しおかしいと思いませんでしたか? 洛陽の情報が各地域に全く伝わっていないことに。商人に聞いても、?周辺の農民に聞いても、洛陽の情報が全くわからない。普通ならおかしいと感じるはずです。何故、『人の口に戸が立てられているのか』」
「戸……?」
「私が知る諺にこういうのがあります。『人の口に戸は立てられぬ』、これは世間の噂は防ぎようがない、という意味です。如何に関を封じ、人の出入りを制限したとしても、秘密という物は絶対に漏れるものです。そうですよね、孟徳殿」
「………………何故、私に言うのかしら?」
「さて。まあ、一般論ですよ」
盾二の涼しい顔に、あからさまに敵対心を表にする曹操。
「まあ、もう幾度も収穫が終わり、そろそろ大陸に噂が立つ頃なので隠すこともないですけど」
「!?」
「話を戻します。それほどまでに秘匿した情報が漏れるのは防ぎ難い。やろうとするなら規模を極小さくしない限りは、ほとんど無理です。で、あるのに……洛陽という大きな都の情報が、他の地域に隠蔽されている。それどころか隣接地域にまで。何故でしょう?」
盾二の言葉に、思わず唸る。
確かにそうじゃ……何故、突然洛陽の情報が入ってこなくなったのか。
儂や劉焉などの遠方ならばともかく、近隣諸国である袁紹嬢ちゃんや袁術嬢ちゃんのところにすら……
「ちなみに梁州に情報が入ってこない理由は簡単でした。まず、隣接しているはずの北には険しい山脈があり、その通行路である桟橋は遥か昔に焼き捨てられ、高祖劉邦が必要としなかったのでという理由で復旧すら行われていなかった為です」
「……で、あろうな」
「その為、我々が洛陽の情報を知るためには二箇所しか流通経路がありません。東か西か、です。西は桟道が無いため情報が得られません。そして東には……」
その視線が儂の隣に注がれる。
釣られて儂も、そして孫策も曹操も皆がその嬢ちゃんに視線を向ける。
「…………う?」
突如注目された袁術は、思わず呻いた。
「袁術殿……洛陽のすぐ南に位置する宛を領土とする貴方です。我々や景升様の荊州には、必ず貴方の領土を通ってくる必要がある……どうやって、情報を止めていたのですか?」
「え? あ? う? な、何の事じゃ?」
「………………」
袁術は戸惑い、周囲を見る。
その横で張勲だけが、だらだらと冷や汗を見せていた。
「まあ鼻薬を嗅がせたか、出鱈目な噂をばらまいたか、それとも完全に遮断されたか……そういえば、我が梁州は一時期、宛の商人に多額の借金
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