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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
反董卓の章
第24話 「……もう、決めたから」
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は、少し逡巡した後――

「……姓は馬、名は正、字は仁義。盾二様に与えられた、馬正さんの名前です」
「………………そっか」

 一刀はそれを反芻するように目を閉じる。
 そして、自身の右手を胸に当て、固く握りしめた。

「我が名は北郷一刀……盾二の兄弟にて、相棒。半分に分けられた、現身。忠臣の鏡である、馬仁義殿に誓う。俺は貴方に変わり……必ず盾二を護る。貴方が示したように、我が身に変えても。心身ともに……例え盾二が道を間違っても、必ず俺が正す。貴方の名前が示す通り、正しく仁義を貫くように……貴方が導いた盾二を、今度は俺が引き継ぐ」

 一刀の宣言に、孔明は顔を上げる。
 一刀のその瞳は、まるで盾二のそれに瓜二つであった。

「だからどうか……どうか安らかに。本当に……ありがとう、ございました」

 そして深く、頭を下げる。
 その姿を見て……

「……っ…………っく…………っ………………」

 孔明は静かに。
 静かに…………涙を落とした。




  ―― とある兵士 side ――




 俺はここ二日、飯も食わずに見張りを続けている。
 俺だけじゃない。
 他の奴らも、誰も、何も言わずに見張りを続けている。

 その場所は、虎牢関の天幕の一つ。
 中にあるのは俺達の至宝の宝。

 だから誰に命令されるでもなく、皆が皆、自らそこを守ろうとする。
 寝不足や疲労で誰かが倒れると、その者の代わりに誰かが見張りに立つ。

 けど、俺は意地でもここを動かない。
 せめてあと一刻、いや半刻でもいい。

 少しでも長く、ここに居たい。

 その天幕に訪れる人は多かった。
 劉備様や関羽様、張飛様など怪我したままで、這いずるように中に入っていった。

 そして皆がなんらかの誓いと共に、天幕を出て行く。
 昨夜も宰相様と、軍師様の兄君という人が中へ入っていった。

 だが、俺達が最も望む人は、まだこの場に現れない。
 だから俺は、その人が来るまで立ち続けようと思っていた。

 けど、さすがに限界らしい。
 意識が朦朧として、視界が歪む。

 他の皆と同じように、俺も倒れるんだろう。
 せめてあと四半刻は保たせたかった……

 そう思い、最後に顔を上げる。
 そして、目を見開いた。

 そして俺は安堵する。
 それと同時に、頑張っていた他の連中の誰かが倒れる音が聞こえた。
 立て続けに倒れる音を聞きながら、自分の意識が薄れるのを感じる。

 けど、俺は満足だった。

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