暁 〜小説投稿サイト〜
真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
反董卓の章
第24話 「……もう、決めたから」
[12/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
き換えにして護ってくださいました。

 もし、私が同じ状況だったら。
 私にそんなことが出来るのか……いえ、きっと無理でしょう。

 私には力がありません。
 剣をふるう膂力(りょりょく)も、盾二様の盾となる体躯(たいく)もありません。

 私が少しでも他人に誇れるのは、政務や軍略……それすらも主である盾二様には及ばないのです。

 きっと守られるだけ。
 それも、盾二様の身を以て。

 私は……何も出来ないのです。

「………………なさい」

 呟く唇に、水が流れます。

「……め……なさい」

 躰が震え、水が地面へと落ちました。
 開こうとした唇は、しょっぱい水が邪魔をします。

「ごめ……なさ……い」

 目を強く閉じ、後悔と悔恨の思いで頭上の帽子を取りました。
 そして、その帽子で口元を塞ぎます。

 声が漏れないように。
 外の見張りの皆さんに、余計な心配をかけないように。

「……ごめん、なさい……」

 小さく、ただ小さく言葉を繋げ。
 その場で荒れ狂いそうな心を、必死で抑えようとします。

 ただ、その懺悔を動かぬ躯に捧げながら……








 時間がどれほど経ったのか。

 ようやく治まってきた悲しみに、私は布を取り出し、顔を拭きました。
 その場で溢れたいろんな物を後始末して、もう一度……その亡骸を見ます。

「……必ず、護ります」

 そう呟き、振り返ろうとすると……

「あっ……」

 天幕の入り口には、一人の男性が立っていました。
 その身は黒い服でまとった姿。
 いつも私達が見慣れている、主の服。

 ただひとつ違うのは――

「………………ごめん」

 それが主では、なかったことでした。




  ―― other side ――




「……ホントは、出てくるまで待つつもりだったんだけど。その……もう、夜明けでさ」

 その人物――一刀は、申し訳無さそうにしながら天幕内へと入る。
 そこにいた人物、孔明は居心地悪げに視線を逸らした。

 その様子に、一刀は姿勢を正して、日本式のお辞儀で頭を下げる。

「ホント、ごめん。でも……時間がなくてさ。その……ごめん」

 そう言って、頭を下げたままで相手の反応を待つ。
 それに孔明は、逡巡した後――天幕の端に移動した。

 それが席を譲ってくれたと理解し、改めて頭を下げる。

 そのまま一刀は、馬正の亡骸の前に進み、手に持っていた花を馬正に捧げた。

「……すまない。本当に失礼かもしれないけど……この方の姓名と字……教えて欲しい」

 一刀は孔明を見ず、馬正のみを見ながらそう言う。
 孔明
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ