反董卓の章
第24話 「……もう、決めたから」
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き換えにして護ってくださいました。
もし、私が同じ状況だったら。
私にそんなことが出来るのか……いえ、きっと無理でしょう。
私には力がありません。
剣をふるう膂力も、盾二様の盾となる体躯もありません。
私が少しでも他人に誇れるのは、政務や軍略……それすらも主である盾二様には及ばないのです。
きっと守られるだけ。
それも、盾二様の身を以て。
私は……何も出来ないのです。
「………………なさい」
呟く唇に、水が流れます。
「……め……なさい」
躰が震え、水が地面へと落ちました。
開こうとした唇は、しょっぱい水が邪魔をします。
「ごめ……なさ……い」
目を強く閉じ、後悔と悔恨の思いで頭上の帽子を取りました。
そして、その帽子で口元を塞ぎます。
声が漏れないように。
外の見張りの皆さんに、余計な心配をかけないように。
「……ごめん、なさい……」
小さく、ただ小さく言葉を繋げ。
その場で荒れ狂いそうな心を、必死で抑えようとします。
ただ、その懺悔を動かぬ躯に捧げながら……
時間がどれほど経ったのか。
ようやく治まってきた悲しみに、私は布を取り出し、顔を拭きました。
その場で溢れたいろんな物を後始末して、もう一度……その亡骸を見ます。
「……必ず、護ります」
そう呟き、振り返ろうとすると……
「あっ……」
天幕の入り口には、一人の男性が立っていました。
その身は黒い服でまとった姿。
いつも私達が見慣れている、主の服。
ただひとつ違うのは――
「………………ごめん」
それが主では、なかったことでした。
―― other side ――
「……ホントは、出てくるまで待つつもりだったんだけど。その……もう、夜明けでさ」
その人物――一刀は、申し訳無さそうにしながら天幕内へと入る。
そこにいた人物、孔明は居心地悪げに視線を逸らした。
その様子に、一刀は姿勢を正して、日本式のお辞儀で頭を下げる。
「ホント、ごめん。でも……時間がなくてさ。その……ごめん」
そう言って、頭を下げたままで相手の反応を待つ。
それに孔明は、逡巡した後――天幕の端に移動した。
それが席を譲ってくれたと理解し、改めて頭を下げる。
そのまま一刀は、馬正の亡骸の前に進み、手に持っていた花を馬正に捧げた。
「……すまない。本当に失礼かもしれないけど……この方の姓名と字……教えて欲しい」
一刀は孔明を見ず、馬正のみを見ながらそう言う。
孔明
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