反董卓の章
第24話 「……もう、決めたから」
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「…………っ!?」
じぃぃぃんと熱くなっていく頬の感触。
思わず呆然としてしまう。
「………………バカ」
それだけ言って、雪蓮は天幕を出て行った。
その後ろを金魚のフンのように追いかける、袁術と張勲。
天幕内に、一人俺だけが残される。
「……………………」
ようやく頬の痛みを実感して、思わず苦笑する。
わかっている。
皆の想いは。
実感している、痛いほどに。
でも、それでも。
「……もう、決めたから」
俺はやはり、バカなんだろう。
―― 孔明 side ――
「………………」
見張りの兵以外が寝静まる中、私は一人、一つの天幕へと向かいます。
それは誰かが命じたわけではありません。
元々そこには天幕などなかったのです。
でも、それは誰の命も受けず、兵たちが自発的に設置し、周囲には大切な宝を守るように見張りの兵たちが周りを囲んでいます。
その見張りの兵に目礼で苦労を労うと、無言のまま入り口付近の兵が天幕の裾を上げました。
それに感謝しつつ、中には入ります。
中には貴重な蝋がふんだんに使われ、天幕内を照らしだしています。
そこには金銀財宝があるわけでもありません。
貴重な書物があるわけでもありません。
あるのは、一台の荷台。
それが恭しく白い布で舗装され、周囲にはどこから積んできたのか色とりどりの花が添えられていました。
その上で眠る人物を……護るかのように。
「……………………」
私は、手に持つ花を、その人物の横へそっと捧げます。
血で汚れきったその肉体は、誰かの手によって綺麗に拭き取られていました。
全身を貫いていた矢は、一本残らず取り除かれています。
そして頭部の傷は……それを覆い隠すように布が巻かれ、まるで眠っているかのように穏やかな顔でした。
「……………………」
私は、無言のまま頭を下げました。
何も、言えません。
彼は…………私達の大事なものを、最後までその身を犠牲にして護ってくださいました。
突然、私と雛里ちゃんの元に入り込み、最初はそのいかつい顔に怯えたり、少々うざいと思ったこともありました。
けど、いつしかこの人は……私達や盾二様にとって、かけがえのない仲間となり。
重要な役割をもって、私達だけでなく、桃香様たちの補佐をもしてくださいました。
それだけでなく、主である盾二様の心の支えにもなり。
時には歳の離れた兄として。
時には有能な補佐として。
公私ともに盾二様を支える大黒柱でもあったのです。
そして最後には……その主の身を、自身と引
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