反董卓の章
第23話 「…………メロン?」
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ってくる。
周囲の兵は、こわごわと槍を構えるけど、それに見向きもしない。
「はいはい、邪魔よ。ご主人様は怪我しているんだからぁ、手当が先でしょ」
そう言って私の前まで来て、顔面傷だらけのご主人様を下ろす。
私はぐったりしたままのご主人様を抱きとめ、膝を折る。
「ご主人様!」
それは紛れも無くご主人様。
天の御遣い、北郷盾二。
私の愛する……唯一人の男性。
彼は少し青い顔をしたまま、意識もなく私の肩に寄りかかった。
その息遣いが、彼が生きていることを知らせてくれる。
(よかった……生きてる)
心の底から安堵して、そのまま横にして膝の上に頭を乗せる。
頭部の血を拭こうとすると、それがただの血の跡だと気付く。
「全身の骨折や打撲、それに内臓破裂は治しておいたわ。頭部の裂傷もね。ただ血までは増やせないし、精神力を使い果たしたから気を失っているわ」
「……大丈夫、なんですか?」
私が不安げにその人を見る。
その人は、にっこり笑ってうなずいた。
「命に別状はないわ。ホントなら死んでいてもおかしくなかったけど、仙人界で不老長寿の水を大量に飲んでいたのが幸いしたわね。常人よりはるかに頑丈になっているし、回復力も半端じゃ無いわ」
「仙人界……」
その言葉にハッとして、改めて顔を見る。
「まさか! 仙人様!?」
「うふん♪ アタシはさすらいの踊り子、貂蝉よん♪」
「え? あれ?」
えっ……と?
踊り……子?
「アタシのことはいいから。ともかくこの場を鎮めないとね。統制を取り戻さないと助かる人も死ぬわよん?」
「え、でも……」
「矢を撃つように命じた人物なら、とっくに逃げたわよ。今この場にいるのは、混乱の中で誰ともわからず戦っている者だけ。同士討ちもしているんじゃないかしら」
「ええ!?」
「だから、ホラ。さっさと止めなきゃ。ねぇ?」
「あ! は、はい!」
私は仙人……踊り子?さんの言葉に頷く。
そうだ。
こんな状況じゃ、みんなどうなっているか……
「周囲の全軍に通達してください! 戦闘行為を一時中断! 状況を見定め、後退するように! それと愛紗ちゃんや孫策さんにも落ち着いて一度戻るように伝令!」
「「「 は、ハッ! 」」」
私の言葉に周囲の兵が『戦闘中止』を叫びながら駆けまわる。
私はそれを確認した後、ご主人様へと視線を戻す。
愛しい人が無事なことほど嬉しい事はない。
心の底から安堵して、その髪を撫でた。
「ありがとうございます。なんとお礼を言っていいか……」
私は貂蝉さんに礼を言う。
貂蝉さんは首を振って、肩に担いでいたもう一人の人物を下ろした。
「気にしない
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