憎悪との対峙
17 悪の巣窟
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手を崩すようにして回転を始めた。
ブレイクダンスでいう『ウィンドミル』。
崩しては次の手でキャッチして足を振り、襲いかかってくる敵を蹴り飛ばしていく。
まるでブレイクダンスを踊るバックストリート・ボーイズに返り討ちにあっている光景だ。
「ヤァァァ!!!」
「!?うわぁ!!!?」
そして一瞬留まったかと思うと、首跳ね起きで最後の1人を飛び潰した。
それは僅か数秒の出来事だった。
1対6という不条理極まりない勝負でありながら、スターダストは全くダメージを受けることなく圧倒した。
スターダスト自身は全く驚くことはなかった。
『紺碧の闇』で受けた修行に比べれば大したことはなかった。
あの天井に潜んだり、床の底から奇襲をかけてくる忍者たちと違って正面から襲ってくるのだから。
「ふぅ....」
拳を握り締めながら、若干の恐怖に襲われていた。
凄まじい力に酔いそうだった。
力に溺れるという人間の気持ちが今なら分かった。
自分は今までムーの特異な力を持っていたことで気味悪がられ、差別されながら生きてきたために力を妬ましく思うことはあった。
だからこそ力には溺れることはなかった。
溺れたら自分を差別してきた人間たちに負けてしまうような気がしたから。
しかし今はこの強大な力を得て、全てを叩き潰せるような感覚に溺れそうになる自分が頼もしくて仕方がなかった。
誰にも負ける気がしなかった。
パチパチパチ!!
「ん?」
スターダストは不意に聞こえてきた拍手の音のする方向を向いた。
「お見事...としか言い様がない。一応、全員が剣道、柔道、空手でいうところの2段以上の戦闘能力を身につけるように訓練された者たちなんだがね...」
声の主は安食だった。
眼鏡を外すとポケットから取り出したハンカチで拭き始めた。
スターダストは安食の声に耳を傾けながらも、その仕草と周囲に意識を尖らせトラップや不意の攻撃に備える。
「で?要件は何かな?沢城アキくん、あぁシンクロナイザーって言ったほうが正確かな?」
「!?」
スターダストは驚きを隠せなかった。
一瞬にして正体を見破られた。
と言うよりはまるで最初から自分がスターダストだと分かっていたかのようだった。
「君はネット上では有名なクラッカー『シャーク』、そしてその正体はディーラーの孤児、全ての人間に少なからず受け継がれているムー人類の因子を『PROJECT LOKI(プロジェクト・ロキ)』なる計画で遺伝子操作によって覚醒させられた後天的デザイナーチルドレン、通称『ロキの子』の1人。通常、彼らはディーラーの養護施設で英才教育施されながら過ごし、徐々に能力開発を行われる」
「....」
スターダ
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