憎悪との対峙
17 悪の巣窟
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それは使ったネットナビの心を闇で染め上げ、犯罪に駆り立てる悪魔のチップだ。
またナビの組成データを何度クリーンアップしても僅かなコードの隙間に入り込み、長期に渡って依存し完全な排除が困難という人間における麻薬と似たようなものだった。
数年前に『ネビュラ』を名乗るシンジゲートが世界中に蔓延させたことは記憶に新しい。
隣のダンボールには昨晩、Valkyrieのセールスマンたちが使っていた『ユナイトカード』が入っている。
だが昨晩のものとは違い、色は紫ではなく赤だった。
「....」
スターダストはダークチップとユナイトカードを一1枚ずつ掴みとり、自身のユーティリティベルトに収納した。
そして耳をそばだてる。
足音は間違いなくこちらを目指している。
スターダストはそれを悟ると奥のダンボールの山の影に隠れた。
隙を狙って奇襲を掛けるつもりだった。
「さぁ....こい」
右腕のガントレットのいくつかのボタンのうち適当なものを先程のように押す。
すると今度はクナイ型のカッターかピーラーのようなものを装備した装備へと変形した。
これは接近戦用の武器のようだった。
それも主に格闘の補助的なものだ。
先程の『バルムレット・トラッシュ』にしても『ウイング・ブレード』にしても大型で小回りが効かない。
それを補うために後から付け加えられたような感じがする。
そんなことを考えながら、息を殺して入口の方を盗み見た。
それと同時に倉庫の扉が開かれる。
「急げ、2時間切った。例のブツとダークチップ、ユナイトカードを30枚ずつ用意しろ」
「了解」
「...安食」
案の定、やってきたのは安食空夢だった。
眼鏡にスーツ、紫のネクタイと昨晩と何ら変わりない姿だ。
やはり昨晩と同じく指示を出し、他の人間たちを従えている。
その様子だけで安食という男はValkyrieという組織の中でもそれなりの地位を築いていることが伺えた。
スターダストはValkyrieたちの行動からあらゆる事柄を頭の中で繋げては考察を繰り返しながら、攻撃の機会を伺っていた。
だがそれは安食も同じだった。
「ん?」
安食の視線の先には僅かに列を乱すダンボールがあった。
それも目立たないところにあり、一応テープで梱包されているが開けられた痕跡がある。
当然、スターダストが先程開けたものだ。
それだけで用心深い安食には疑いをもたせるには十分だった。
「....先客がいる...」
「はい?」
「倉庫内を捜索しろ。ネズミが潜んでいるかもしれん。見つけ次第殺せ」
安食は足元で大型のエンジンのような機械を運びだそうとしていた部下たちに指示を出した。
その
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