その手に宿る調律。
生れ落ちる生命
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波長だ。
その力で言うならば、叢雲の化身である私。
そして私をこの時間樹に封じた、忌まわしき“聖威”と同等の力を有しているだろうか。
「環」
「はい、この場は私が残りますので。…ナルカナ様は時夜さんの元へと」
「当然よ、時夜の所に向かうわ。何かがあった場合私が対処するから、環は時夜が帰って来た時におやつを食べれる様にお願いね」
私はそう環に告げて、急いでその場を離れる。
目指すべき場所は、時夜が眠っている大樹の元だ。
綺羅も先行している。
けれど、戦闘の類になれば未だに過去の戦の傷が半ば癒えていない彼女には荷が重いだろう。
あの子の両親が不在中の今。
時夜を守る事が出来るのは、私達家族だけだ。
時夜を守る事。
それは私達家族にとっての義務であり、使命だ。
けれどそんな建前など無くても、私は時夜の為ならば盾とも矛ともなる覚悟がある。
それ程までに、私はあの子を愛しているのだ。
「…待ってなさい、時夜ッ!!」
そんな可愛い弟の為。
私は自身の力を解放し、疾風を纏って森の中を駆け抜けた。
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時夜side
《出雲・周辺》
PM:2時53分
「時夜様、何か変わった事はないですか?」
綺羅お姉ちゃんに手を引かれ、森の中を通って出雲大社を目指している最中。
そんな事を先程から、度々と聞かれている。
「……さっきからどうしたの、綺羅お姉ちゃん?」
昼寝から目覚めた後より、不安に満ちた、心配そうな表情を見せる綺羅お姉ちゃん。
俺はそれに怪訝な表情を浮かべて、首を傾げる事しか出来ない。
……何か、変わった事はあったか?
自問自答するが、特に思い当たる節は無い。
…何かあったかと言えば、今まで忘却されていた夢を思い出した事位か。
それ以外は得にはない。
けれど、それは夢の中での話だ。現実に影響を与える様な類ではない。
うん、何もないな。
「…そうですか、何かあったら直ぐに言って下さいね」
「は〜い!」
そんな俺の声を遮る様に、森の中に女性の甲高い声が響く。
―――黒い閃光。
視界に映った処理落ちした情報を解析すると、その言葉が当て嵌まった。
遠方より、弾丸の様に迫ってくるが、近づくにつれてその全貌が明らかになってくる。
「―――時夜ッ!!」
森林の出雲方面より、かなりの速度でルナお姉ちゃんが現れる。
その表情は、どこか危機迫っている様にも見える。
「…ルナお姉ちゃん?」
俺はそんな自身の姉今までに見せた事のない姿に、思わず目をパチクリ…とする。
どうしたのだろうか?言葉に
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