参ノ巻
死んでたまるかぁ!
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「ですよねー!」
あたしは布団に突っ伏した。緊急時だったから仕方が無いとは思いつつ!あたしだってまだ十六のうら若き乙女なのよ〜何が哀しくて嫁入り前にこんな男盛りの生臭坊主に裸体を晒しゃぁならんのだ。
「別に何とも思いやしねェよ」
「わかってるわよ!でもそれとこれとは話が別なのっ!」
「はいはい。まぁ、手伝って貰うにしても体力が戻ってからな?とりあえず余計なこと考えず当分は安静にしとけェよ」
惟伎高はあたしの頭をぽんと叩くと立ち上がって行こうとする。
「惟伎高!」
あたしは叫んだ。
「何だァ?ピィ」
「ピィじゃなくて、あたしの名はルライ。瑠螺蔚よ、惟伎高」
これは、賭だった。でもあたしは惟伎高を信じて良いような気がしていた。そして、もう二度と呼ばれることの無いであろう真名を、ひとりでもいい、誰かに覚えていて欲しかった。それに、あたしだけ向こうの真名を知っているって言うのも、公平じゃないわよね?
惟伎高は驚いたように目を開いた。しかしそれはほんの一瞬で、すぐにいつもの顔に戻り、にやりと笑った。
「覚えておく。だが、おまえはピィで十分だァよ」
そうして部屋を出て行く。
あたしは惟伎高の優しさに笑った。
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