参ノ巻
死んでたまるかぁ!
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したように笑った。
「ほォ。よくわかったなァ。外からはわからんようになってるンだが。まァ俺も色々とあってな。おまえもタダの女子じゃァねェなァ?」
っだからなんで何にも言ってないのにわかるかなぁ!?
「まぁね?」
とあたしは内心をおくびにも出さずしたり顔で頷いた。
「ところで今更だけどここどこ?」
「石山寺だ。おまえ、表の瀬田川で流されてたンだァぞ?しかも夜に。夜の川なンて、飛び込むだけ馬鹿を見るが、なぜかおまえのことははっきり見えた。だから飛び込んだ。青く燐光していたから、助けるのも容易かった。偶然か俺の目の錯覚かわからンが・・・兎にも角にもこうして命が助かって良かったァよ」
「うん・・・ありがとう」
男が、心からそう言ってくれているのがわかった。
夜の川に飛び込むのがどれだけ無謀かはあたしにだってわかる。助けにいった人共々溺れ死んでしまう可能性の方が高いだろう。言うのは易いが、行うのは難い。実際その場面に行き会った時あたしも躊躇なく飛び込めるかはわからない。あたしはいい人に助けられた。何も返せないけれど、せめて心をこめてお礼を言う。
それにしても、燐光してた、って・・・。あたしは無意識にずっと身につけていた胸元の瑠璃の勾玉を探った。・・・ある。無くしていないことに安堵する。これのおかげって決まった訳じゃないけれど、何となく、この勾玉が守ってくれている、気がする。ありがとう、とぎゅっと握って祈る。
淡海国内は出ていないけど、石山寺か・・・前田家とは歩いて半日ほども距離があるところだ。・・・ん?石山寺?
「ところであんたの名前は?」
石山寺・・・どっかで聞いたような。
改めて男の顔を見る。
あれ、ねぇ、やっぱり、何か・・・。
「庵儒だ」
「庵儒・・・」
あたしは少し考えてから、ずばりと言った。
「それは法名よね?本名は何と言うの」
「なぜだ?」
庵儒は面白そうに口の端をあげる。
「あんたは・・・佐々家の側室の子ではない?名は確か、惟伎高」
のんびりしていたその場の空気が一瞬でがらりと変わり、惟伎高は壮絶に笑った。びりびりと威圧が肌を焼く。し、まった・・・。死にかけたおかげで頭も働いていないのかもしれない。ただ佐々家に繋がる人に偶然でも会えたのが嬉しくて、素直に名を言ってしまったけれど、相手は僧形なのに帯刀までしているんだった。僧の身で刀を身に帯びるなんて、身の危険がある場合しか考えられ
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