決戦5
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
だからこそ、考える。
この窮地を脱する策を。
ヘルダーの腕はラインハルトにとって、予想外のことだった。
相手の力を侮り過ぎた。
その失敗は、さらに彼を大きくするだろう。
だからこそ――生き延びなければならない。
睨みつけるヘルダーは、ともすればすぐにでも引き金を引きそうだ。
だが、頭に突きつけられたブラスターからすぐに引き金を引く事はないと確信できる。
おそらくは、ラインハルトの命乞いか、伝えたい言葉の後か。
ならば。
「俺を殺して、罪に問われないとでも」
「戦闘下において残党に殺されたとするさ。そのようなことはどうにでもなる」
「普通の兵ならな。しかし、普通ではないと貴様がそう言ったばかりではないか」
苦々しげにヘルダーの顔が歪んだ。
「それもお偉い方がどうにかしてくれるだろうさ」
ラインハルトの笑い声が、雪原に響いた。
小さく鈴の音をならすような音だ。
「何がおかしい?」
「失礼。貴族をあれほど信用しないと言っていた貴様が、最後に貴族を信じるとはな」
「なに」
「貴族が信じられないと言ったのは貴様ではないか。その通り、貴様などは貴族の出世を妬んだ一兵士として捨てられる。貴様を優遇して何になるのだ。不利な証拠は消すのが一番ではないか」
「そ、そのようなこと」
「そんなことはないか。なぜ、そう言い切れる――貴様は俺を殺すと同時に、皇帝陛下の寵姫の弟を殺した罪に問われるだろう。結果は一族郎党処刑だ」
そして、笑う。
「おめでとう。確かに貴様の望みは叶う――ヴァルハラで家族に囲まれて、楽しく過ごすと良い」
「き、貴様っ!」
怒りを浮かべて引き金を引こうと動いた。
撃つタイミングさえコントロール出来れば、かわすことはできる。
ラインハルトは挑発と同時に動きだそうと、身体に力を込めた。
もっとも、それはラインハルトにとっては悪手でしかなかったが。
ヘルダーの腕は感情とは別に、敵の動きによって引き金を引くほどに洗練されていた。
ラインハルトが身体を沈みこませたと同時に、ブラスターが動いている。
だが。
引き金は最後まで引かれることはなく、轟音と共に舞い上がった炎が身体を揺らしたのだった。
「何がっ」
叫んだ隙をラインハルトは見逃さない。
雪原に落ちたブラスターを無事な左手で握り、岩場へと飛び込んだ。
放とうとすれば、さすがだろう。
ヘルダーもその場にはおらず、先ほどラインハルトが逃げ込んだ岩場に姿を隠していた。
「何が!」
ヘルダーの叫びに答えるように、再び戦場となっているであろう場所から炎が舞い上がる。燃え広がる炎と兵士の悲鳴がここまで届いた。
「何がもない。敵の空挺部隊が突入したのだ」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ