暁 〜小説投稿サイト〜
緋弾のアリア-諧調の担い手-
そして彼女の道行きは
そして彼女の転生記録
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
る気配はない。

健やかに寝息を立てて眠る黒髪の少年の枕元。
そこには、サンタクロースからのプレゼントの様に、一つのヘッドギアが置かれている。


―――ナーブギア


そう呼ばれる代物だ。
そのコンパクトな見た目に反して、最先端技術の叡智と言っても過言ではない。

直接神経結合環境システム――NERv Direct Linkage Environment System、頭文字を取ってNERDLES。

それは自身の神経を直接システムに繋げて、神経の動きを察知したシステムが、仮想空間の中で
現実と同じ動きを再現する。
つまりは、ヴァーチャルリアリティの中に自分自身を投影する事だ。

それが始めて世に出たのは2006年の事であった。私が生まれる一年前の出来後。
その時点で、前世の科学技術から大きく剥離しており、それに追随する様に、脳や神経に関する技術も大きく進歩していた。

前世では理数系を専攻に学んでいた為に、その技術発展の凄さが理解出来た。

当初出たNERDLESは業務用、冷蔵庫サイズのものであった。
そして大手のゲームメーカーがリリースしたNERDLESで動くゲームは1プレイ3000円で、全国五箇所の設置店のみでの稼動となったが、それでも長蛇の列が絶えなかった。

斯く言う私も、弟の同伴者として少ないお小遣いで、“慣らし”程度のつもりで遊びに行った覚えがある。


「……うん」


そんな思考の海に浸っていると、不意にその声に現実に引き戻される。
そして私は追い討ちをかける様にして、揺すり掛ける。


「起きて下さい、和人」

「……うん…っ…姉さん」

「もう、漸く起きた?朝食の準備が出来てるから早く起きて?」

「は〜い」


私は朧気ながらに意識を覚醒させた弟の姿に、満足げに頷く。
だが、また再びベッドに潜り込み、眠りに就こうとする。


「全く、“今日”は大切な日でしょう?サービス開始に間に合わなくても知らないからね?」


その言葉に、まるで耳元で目覚ましが鳴ったかの様に、意識を急速に解凍する和人。
その様子に、私は思わず苦笑する。


「おはよう、姉さん!」

「はい、おはようございます」


そうして慌しくも、桐ヶ谷家の一日が始まる。






2






朝食を皆で摂り終え、母親と妹を見送った私は手早く家内の掃除を済ます。
そして弟は一人で部屋に閉じ篭り、遠足前の子供の様にわくわく…としていた。

時計を見ると、時刻はもう間もなく正午を迎えようとしていた。
それを確認して、私は部屋へと向かう。

そうして手に取るのは、先程弟の部屋で見たヘッドギア。
ナーブギアを頭からす
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ