第四十八話
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急に咳き込んだ俺を不審に思い、梅先輩が慌てて俺の背中をさする。
今のは、まさか・・・
「イッツ!」
「あ、スイマセン。もしかして、傷口とか・・・」
「そうじゃない・・・イタタタタタタ」
間違いない、な。あのヤロウ・・・
「腹の中で、暴れてやがる・・・」
「・・・ああ、一寸法師の伝承の」
「多分、霧に紛れてきたんでしょうね・・・ッ」
奥歯をかんでどうにかその痛みに耐えつつ、俺は言霊を唱える。
「我は永続する太陽である。我が御霊は常に消え常に再臨する。わが身天に光臨せし時、我はこの地に息を吹き返さん!」
言霊を唱えて不死になってから、俺は蚩尤の権能で作った短剣を構えて・・・自分の腹を、掻っ捌く。
「武双君、何を・・・」
「これ以外に方法がないんですよ・・・!」
そのまま手を突っ込み、胃にあけた穴からさらに手を突っ込んで・・・中にいたやつを握り、投げ飛ばす。
それを見た梅先輩が慌てて俺に唇を重ねて、治癒の術をかけてくる。正直、恥ずかしいけど助かるな。
「まさか、自ら穴をあけて引きずり出すとはな・・・」
「不死だと、わりと抵抗がなくなってくるもんだよ・・・・クッそイテーけど」
とはいえ、これといって手がない。
相手が小さすぎて見つけられないし、となると攻撃もあてられない。
「・・・梅先輩、これまで以上に、ここから動かないでください。ちょっと賭けに出ますけど、心配しないで」
「・・・分かりました」
さて、やるとしますか・・・
「見えないくらい小さいのなら、一箇所残らず攻撃すればいい!」
「む・・・」
スクナビコナの声が聞こえてくるが、やはり見つけられない。
となると、もう仕方ないな。出雲大社がぶっ壊れるけど、その辺りは委員会の仕事だ。
「雷よ、天の一撃たる神鳴りよ。今この地に破壊をもたらさん!」
杖を掲げ、天を仰いで言霊を唱える。
ゼウスの権能を完全解放する言霊を。
「この一撃は民への罰。裁き、消し去り、その罪の証を消滅させよ。この舞台に一時の消滅を!」
その瞬間に、巨大な雷が大量にこの地に降り注ぐ。
権能の掌握が進んだことで、一撃一撃が神獣を虫けら扱いする威力となっている。
「ぬぐ・・・」
「これで、一発くらいは当たるだろ。・・・じゃ、行ってきます!」
俺はそう言ってから雷の中を走る。
ゼウスの権能の開放状態、コイツは俺が発動したときにいた場所にだけは降ってこない。
だから、あそこにいれば梅先輩は安全だし、俺は俺で、肩当が雷を俺の体に通さない。
そしてそのまま・・・雷を食らってもとの大きさに戻ったスクナビコナに向かって走る。
「ぬ・・・神殺し!」
「ガ・・・
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