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少年と女神の物語
第四十八話
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 俺の唱えた言霊により梅先輩が仕掛けた種が急成長し、スクナビコナを捉える。
 今回、ここに来る前にあったホームセンターにおいてあった種を全て買ってきた。
 その中の植物の一つを操って、スクナビコナの動きを捉える。

「ついでに、出雲大社も守っとくか」

 気休め程度でしかないが、出雲大社を覆うようにして植物をはりめぐらせる。

「どうですか、武双君」
「今のところはいい感じですよ、梅先輩」

 俺の後ろに戻ってきていた梅先輩にそう返しながら、即席工場で作った槍を構える。
 何故だか、危険な気がしたのだ。

「・・・礼を言うぞ、神殺し。おかげで頭がさめた」

 そう言って、スクナビコナは自分にまきついている植物を一瞬操り、針で無理矢理に引きちぎって脱出する。
 やっぱり、ダメか・・・鋼の英雄に、ただの植物じゃ分が悪い。

「そうじゃなくても、スクナビコナは穀物の神でもありますからね」
「植物にも通ずるものがあったんだろうなぁ・・・まあ、それなら仕方ない」

 俺はゼウスの権能で槍に雷を纏わせ、スクナビコナに突進する。
 そのまま針と打ち合い、金属を通じて雷を流してみるが、まあ大して効いていない。ほんの少し傷を作った程度だ。

「ふう・・・さて、本格的にどうしようかなぁ・・・」
「・・・汝のおかげで、我はやるべきことを理解した。それは・・・友の敵を、取ること」

 そう言いながら、スクナビコナは自分の頭上で何かをひっくり返して、中の液体を被る。
 それからは、離れていても感じるほどに強い薬のにおいがした。

「うっわ、きつい匂いだな・・・」
「良薬口に苦し。あれだけの匂いです、どんな病気でも治りそうですね」
「だとしても、あんなの飲みたくはないです」

 とはいえ、その効果は確実なもののようだ。
 つけた傷が、どんどん治っていく。

「そのために、我は全力を持って汝の相手をしよう。鋼の英雄として、恥じぬ戦を繰り広げようではないか!」
「はぁ・・・スイマセン、梅先輩。絶対にここから動かないでくださいね」
「はい、分かりました」

 俺はそう言ってから槍を構え・・・目の前に広がった霧に、視界をふさがれる。

「・・・そこ!」
「ほう、この霧の中で我を捕らえるか」
「心眼、ってね!」

 俺は感覚的につかんだ相手の位置に向けて、槍を突き出す。
 だが、それは全て空を切る。間違いなく、見えないせいだ。視界というのは、それほどまでに重要だということだろう。

「っと。大丈夫ですか、梅先輩?」
「こちらは問題ありませんよ」

 元の位置に戻って梅先輩が無事であると確認する。
 さて、どうするか・・・

「っ!?ゲホゲホッ!!」
「どうしました、武双君!?」

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