第六十三話
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ら大丈夫! ……確か、他の種族でも渡れるように……」
レコンがまずコンソールを弄くると、パーティーメンバーである俺とリズの目の前にもシステムメニューの表示が現れる。読んでみると、この激流を渡れるように作られた船――いわゆる《カヤック》を作り出すのだという。言われてみればノームとの共同で作ったにもかかわらず、ウンディーネのみしか通れないというのもおかしな話だ。
早速カヤックに乗って、ゲーム内だが激流下りと洒落込もうとしたところ、システムメニューにエラーの文字が浮かび上がった。その原因は――
『カヤックの機動には1000コルが必要です』
「微妙にセコい値段ね……」
「……ああ」
なんとなく出鼻を挫かれたような気持ちになりながら、俺もリズも1000コルをシステムメニューとトレードすると、激流に流されないギリギリの岩場にカヤックが出現した。カヤックには詳しくはないものの、レプラコーンの協力者もいたのか、ノームの使用が前提ということもあり、なかなかのカヤックのようだ。
「あれ、ショウキさんもリズベットちゃんもお金持ってたの?」
3000コルを自分で払おうとしていたらしいレコンの手が止まり、不思議そうに俺とリズの方を覗き込んで来る。アインクラッドの貯金があることは、当然ながらレコンは知らないのだ。
「さっきのプレイヤーたち、結構な数は自力で倒せたからな。1000コルぐらいなら貯まってたんだよ」
リズと「しまった」といった目配せをした後に、なんとか口からまだ説得力のある出任せが滑り落ちる。確かに俺もリズも善戦はしていたものの、あくまで回避を優先して動いていたため、恐らく対プレイヤー戦では1000コルも稼いではいないだろうが。それに加えて、トドメは大概リズだった事もある。
「ふーん……言ってくれれば3000コルぐらい払ったよ?」
レコンはそう笑いかけながらも自らのカヤックを作り出し、三人分のカヤックがきっちり出現する。激流の横幅は、カヤックが三つあるにしてはまだまだ余裕があり、後十個以上は同時に出発出来そうな広さを誇っている。カヤックも大型ではないにしろ、かなり大きい川なのだろう。
「いざ、出発進行〜!」
リズの掛け声とともにカヤックは、俺、リズ、レコンが乗るカヤックの順番で出発する。一気に《蝶の谷》へと行きたい物だが、そうすると大型ボスがいるエリアに行ってしまうらしく、ウンディーネの支援無しでは勝ち目が無いとのことで、まずは中間地点の街を目指すこととなる。
「そう言えば、ショウキさん」
「ん? どうしたレコン」
……カヤックの激流下りとは言っても、流れが早いだけで特に難所はない。オールでバランスを取っていれば落ちることはなく、こうして会話をするくらいは容易
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