第六十三話
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あまり読まない派である俺とリズは二人揃って間抜けな声を出した。なるほど確かに、この大きな山がダンジョンということでは、太陽の光は届くまい。
「ってことは、飛行なしなのね……ちょっと慣れてきたとこなのに」
「今さっきブレーキミスした奴の言うことか、それ」
翼でスピードを落としつつ木の枝から着地し、レコンの先導でダンジョンの入口へと向かっていく。心なしかまだ鼻の先が赤いリズをからかうと、「……さっきのはたまたまよ、たまたま」などとのたまっている。
「しかし、飛べないってのは良いのか悪いのか……」
空中戦に不安要素しかないこのパーティーだったが、やはり機動力の大元を成しているのは、やはり飛翔によるところが多いのだ。逃げる際に一々走っていては体力が保たないし、何より飛んだ方が遥かに速いのだから。
飛べないということと、ダンジョンということも合まって、俺たちの進行スピードは大きく落ちてしまうのは否めないだろう。プレイヤーも恐らくは待ち構えているだろうし、いい加減《トレイン》が通用するかも怪しくなってくる。さらに言えば、狭いダンジョン内で――妙に手慣れているレコンはともかく――俺やリズが、そもそも《トレイン》出来るか、という問題にも直面する。
「まあ、行くしかないか……」
かと言って、ダンジョンを無視してこの山脈を登ることなど出来ず、ドラゴンなどに乗りに行くなどもってのほかだ。観念して行くしかないかと気を引き締めて、レコンの案内で入口についたところ、リズが疑問の声を漏らした。
「……あれ? レコン、入口ってここだけ?」
「うん、僕が知ってるのはここだけだけど……」
レコンも自らのホームグラウンドではなく、あくまでどこかで見た情報とナビゲーションに従っているだけなので、少し自信なさげだった。そこでリズはもう一度頭を捻ると、少し離れた場所を指差した。
「さっき山にぶつかった時、なーんか向こうの方に入口が見えた気がするのよね……」
「……ちょっと確かめて来るか」
一番瞬間速度に優れた俺が翼を展開し、リズが指差した方へと飛翔していく。そんなに離れていないし大した手間でもなく、近道でも見つけられたらめっけものだ。
「リズー、ここらへんかー?」
「もうちょっとー!」
リズの誘導に従って飛んでいくと、確かに人が二人いっぺんにならギリギリ入れるか、というぐらいの小さな穴を発見する。よくこんな穴を飛んでる最中に発見したな、とリズに関心するとともに、少しばかりその穴に近づいて調べてみることにする。
「……水の音?」
穴に近づいて調べてみて分かったことは、その穴はさながらダンジョンのように、かなり奥まで繋がっているということと、轟々と水の音が流れているということ
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