第六十三話
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制空権を取るノームたちは、魔法の密度を薄くして自分たちの視界を確保していた。
その結果、彼らが見たモノは飛翔型モンスターの大群が、自分たちを標的に向かって来ていることだった。列車のようにモンスターたちが連なり、プレイヤーに向かって行くその光景は、あまり思い出したくない記憶を刺激する。
「……全軍反転ッ!?」
ノーム軍団の指揮官がモンスターの大群へと魔法を撃つと、飛翔型モンスターはなおさらそのノームたちを標的として決定する。盾剣士を俺とリズに削られ、MPも消耗している状態でモンスターの大群と戦う、彼らの運命は決まっているだろうが……それを俺たちが見届けることはない。
モンスターの大群が現れた時点で、俺たちはノームたちにバレながらも戦線を離脱。モンスターの大群の巻き添えを食らわないように、大回りで飛翔してそこから逃げ切っていた。
そのまま俺とリズは目の前の山を目指して並行して飛翔していると、リズのすぐ横の空気が一瞬揺らぐ。リズは気づいていないようだが、あえて何も言わないでおくと、その空気の揺らぎから突如としてレコンが姿を現した。
「大成功だね!」
「キャッ!? い、いきなり出て来たらビックリするじゃないのよレコン!」
満面の笑みを見せた数秒後にはたかれるレコンには同情するが、今のはいきなり現れたレコンが悪い。しかし、はたかれようがノーム軍団をMPKしようが満面の笑みのレコンも、それはそれでどうかと思うが。
一回目の襲撃に対しては、全うに迎撃したものの……激化するプレイヤーたちの攻撃に、俺たちが取った手は《トレイン》というMPK。もちろんマナー違反ではあるが、緊急事態かつ攻撃してきたのはあちらなので、ご容赦願いたい。
レコンが《ホロウ・ボディ》によって姿を消して戦線を離脱し、俺とリズが盾剣士を削りつつ敵の攻撃を耐えしのぐ。その間に、レコンが大量にモンスターを引き連れて戻り、再び《ホロウ・ボディ》によって姿を消すと……敵プレイヤーを狙い、モンスターの大群が迫って行く。
アインクラッドで俺も数回かけられては死にかけた、使い古されたものの効果的なMPKらしい。成功したのは、ひとえにレコンが妙に手慣れていたことと、敵プレイヤーたちが相互に連絡を取っていないことと、人数が揃っていないことだろう。
先も含めて計5回のプレイヤーの襲撃にあったものの、彼らが盗賊ギルドのように連んでいるのではなく、あくまで別の軍団のため連絡が成り立たず、何回でも同じやり方が通用したのだ。人数が少なかったことは、予測でしかないが……戦う度に人数が増えているところを見ると、最初の方は急なことで、人数が揃えられなかったのだろうか。
「……何かリーファちゃんのパンチに似てる気がする……」
「……変態?」
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