第六十三話
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レプラコーン領を逃げるように飛び出した俺たちは、ひとまずサラマンダーの目的地であるらしい、《蝶の谷》という場所へと飛翔を始めた。先程の戦闘から羽を使い続けているものの、ダンジョンアタックをしたわけでは無いため、まだ飛行限界時間は訪れないらしい。
モンスターが規定の場所以外に出ない、今までの各妖精の国の領内とは違い、ここからはアインクラッドにおける《圏外》――すなわち、敵性モンスターが現れることとなる。レコンに聞いたところ、もちろん飛行中だろうとお構いなしにモンスターは現れるらしく、多少面倒に思っていたが……
領外に出て行った俺たちを出迎えたのは、決してプログラミングされたモンスター等ではなく、俺たちと同様に命を持った――プレイヤーの一団だった。
「せやっ!」
日本刀《銀ノ月》が戦っていたノームの盾剣士を切り裂き、その身体をリメインライトに変えていく。リズとレコンの無事を確かめつつも、自らの息を整えて汗を拭うような動作をする。ALOで汗などかきはしないが、こればかりはほとんど癖のような物だ。
このノームたちの軍団によって、通算五度目のプレイヤーの襲撃であり、流石に盗賊のようなギルドが動いていたとしても、違和感がある回数だ。まるで《蝶の谷》への道程の、足止めをするかのようなこのプレイヤーたちは、恐らくはサラマンダーたちの仕掛けなのだろう。
方法は皆目見当も付かずに対処することは出来ないが、ここで倒されるわけにはいかない。レコンの依頼と《蝶の谷》のこともあるが……俺とリズは、SAOにおける大量のバグアイテムが、アイテムストレージに捨てられずに残っている。キルされることで他のプレイヤーに渡ったが最後、運営に発見されてしまえば、このアカウントは削除されてしまうだろう。
だったら捨てる……という訳にはいかないのが、俺の弱いところだろうか。
「くたばれぇ!」
考え事ばかりしているわけにはいかない。あまり品の無いノームのバトルアックスをしゃがんで避けると、そのまま足払いをして中に浮かせる。品の無いノームが羽を展開するより速く、回し蹴りが炸裂してその身体を遠くへ吹き飛ばすと、リズと一騎打ちをしていたノームへと直撃する。
「サンキュー、ショウキ!」
倒れた二人に良い笑顔でメイスを打ちつけるリズに苦笑いしつつ、地上から炸裂する土魔法を飛翔してやり過ごすと、レコンからの『合図』を受け取った。レコンは一人、ノームとの戦線からは離脱しており、彼にしか出来ないことをやっている。
「リズ、合図だ!」
二人のノームを料理したリズも、俺の言葉によってレコンの『合図』に気づいたらしく、ノームの魔法使いの攻撃を、何とか避けながら俺に合流する。『合図』などと大げさに言ったことに警戒してか、俺の遥か上空で
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