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少年少女の戦極時代U
ヘルヘイム編
第21話 決意、重なる時
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「変わっていくのはしょうがない。でも、オトナの勝手な都合で壊されるのも、取り上げられるのも、ヤダ。これはあたしだけじゃない、リトルスターマイン全員の答え」

 それは、コドモたちみんなの答え、と言われた気がした。

「ユグドラシルのオトナがそんなんばっかなら、()()()()()はユグドラシルの敵になる。あたしたちが思い出を作っていきたい場所をふみにじるなんて、ぜったい、ゆるしてなんかあげない」

 言い切った咲は、唐突に紘汰をふり向いた。

「紘汰くんも。もう足手まといなんて理由なんて置いて行かせないから。おぼえててね。紘汰くんと会ってからあったことも、あたしが守りたい思い出のひとつなんだから」

 紘汰は息を呑んで咲を見返すしかなかった。これが小学5年生の女子に出せる気迫なのか。発するオーラだけなら白いアーマードライダーにも匹敵しかねない。それだけ彼女の決意が強いということなのか。

「紘汰くんは? 戦う理由、もう決めた?」
「――俺は」

 紘汰はカチドキロックシードを強く握りしめた。

「俺は俺の絶望を、ユグドラシルの彼らの諦めをぶち壊す道を往く。いや、その道を創る。犠牲を求める世界のルールと戦う」

 咲はまっすぐ紘汰を見上げて来た。驚きもしなければ呆れてもいない表情。

「じゃ、おたがいがんばらないと、だね」

 咲は晴れやかに片手を差し出した。

「紘汰くんが零したものがあったら、あたしが拾って掬う。思い出を守るって、きっとそういうことだから。だから紘汰くんは、紘汰くんが信じた道を往って」
「――っ」

 胸を、打たれた。
 コドモでも、女の子でも、室井咲は今確かに紘汰と同じ地平を見つめていた。

 紘汰は咲の手を取った。自分と比べればとても小さくやわらかい掌。大きな手と小さな手の、つたない握手。
 それが紘汰にとっては、この上なく心強かった。
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