第十三話 生存
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に関することじゃ。」
「!?」
イナリがこれまでになく、反応する。
「ただ、これを話すとお主はもう戻れなくなる。何も知らない、今のお主に。知らない方がよかった、聞かなければよかった、きっとそう思う。・・・だから、決めよ。己自身の“真実”を聞くかどうかを。」
「ぼくの・・“真実”・・・?」
深く考え込んでいるのであろう、イナリの目はどこも見ていない。
「だいじょ「ダメじゃ。安易に考えるでない。」」
答えようとするイナリを制止する。
「おぬしの人生を大きく変えるものだ。よく、考えてほしい。」
そこで儂は彼を引き寄せて、もう一度彼を抱き締めた。
「火影様?」
イナリは儂の腕の中で訝しげな顔をしておる。
「・・・これでも、よくお前のことを知っておる。あの夜以来、ずっと見ておった。だから、知っておるのだ、お前が自分の命は蔑ろにすることも。」
「!? 僕はそんなつもりは・・・」
「いいや、この前の戦闘でもそうであろう?お前の行動の主体は“仲間が死なないように”、これに尽きるであろう?」
「いえ、あれは!」
「菜野ハナや うちはカタナ、その他の仲間を死なせない・・・そういう気持ちだったはずだ。」
「あれは・・・僕が“失いたくない”だけです。・・・自分が辛い思いをしたくないだけです。」
儂は腰を折り、イナリと同じ目線にする。
「イナリ、お前にとってそれは同じじゃ。お前は“大切な人を失う気持ち”を知っておる。それを知ってるものは相手に“大切な人を失う気持ち”を、“そんな思い”を、させたくないと心の底に思っているものなのじゃ。そして、その思いを持っているからこそ、“仲間を死なせたくない”と思う。なぜなら仲間の一人が死ねば、他の仲間が悲しむからの。」
「そんなの・・・何とでも言えますよ。」
「しかしの、一つだけそうだと言えることがあるんじや。」
イナリが儂の顔をじっと見ている。
儂はイナリを少しだけ離し、両肩を掴む。
「・・それを仲間が感じるのじゃよ。」
「仲間が・・・感じる?」-
「そう、実はお前と話す前に菜野ハナと うちはカタナから話を聞いておる。」
!?
「二人は言っておったぞ。イナリは、“私たちを想ってくれている”と。私たちに、“大切な誰かを失う気持ちを知ってほしくない”という思いが分かると。そういうやつが“仲間を死なせない”ようにして、“みんなで生き残る”ことを考えるんじゃ。」
「・・・・・」
「だが、そういうやつに限って、自分の事はその勘定に入っていない。・・どういう意味か、分かるな?」
「・・・はい。」
「だからこそ、お前には自分の事を見て欲しい。お前の“真実”は人生を狂わ
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